※ 「今月の衛星画像」 2013年のテーマは 世界の森林 です ※

Vol.15
-08    2013年08月号

 酸性雨被害から回復するノルウェイの森 新鋭機LANDSAT 8 で見る北方の森林

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS
衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSAT
の場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOT
の場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学やUSGSのアーカイブデータを使用することもあります。

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 2013年のテーマは、「世界の森林」です。衛星画像を使って、世界の「森林」を見てまわりましょう。


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 日本と同じように細長い国土のこの国の面積は、日本とほぼ同程度です。1970年代には、周辺国の硫黄酸化物や窒素酸化物に由来する酸性雨の影響で、森林や湖沼は非常に深刻な被害を受けました。地理の教科書にも、隣国のスウェーデンとともに、湖の蘇生のためにアルカリ性の石灰を投入し中和させたり、森林土壌に石灰を投入するようすが紹介されたものです。森林は一時期、大規模に枯死したそうですが、その後に欧州各国が硫黄酸化物や窒素酸化物に関する削減の条約や議定書の目標を達成したおかげで、最近では以前ほどの被害はないようです(関 一人、林産試だより、2005年2月号)。      

 ノルウェイは、国土の90%ほどが標高1000~2000m の山地です。山岳には氷河が発達する場所も広く海岸線にはなフィヨルドが形成されています。山地にはツンドラや山地植生が発達していますが、それほど規模の大きな森林はなく平地や低山帯には北方針葉樹林がみられるということです。またノルウェイは、隣国のフィンランドのように落葉温帯林は広く分布せず、フィンランド、スウェーデンなど他の北欧諸国にくらべて林業に依存する割合は低いそうです(二宮・杉森(2011)、海外林業教育視察報告書2)。
 
 今月の画像は、LANDSATシリーズの最新後継機である8号のデータを使って作成しています。LANDSAT8は、2013年2月に打ち上げられ、5月から外部に向けてデータ配信が始まりました。空間解像度の高い民間衛星による画像が配信されているにもかかわらず、中解像度のデータしか持たないLANDSATの運用意義をあれこれいう人もいますが、地表の変化を40年以上にわたって継続して観測している衛星はLANDSATをのぞいてありません。同質のデータで長期間にわたって経時変化を探るために、LANDSATを運用しデータを無償で公開するアメリカの度量の大きさは賞賛されるべきものです
 画像1 LANDSAT 8 2013/7/10 の画像(2シーンのモザイク)
 
LANDSAT8 は従来より波長分解能が向上した。このナチュラルカラー画像は、RGB:453で作成し、空間解像度の高いBand8を合成したパンシャープン画像である(ただし、この画像は掲載の都合で解像度を大きく落としている)。
 
     画像2 ハルダンゲル高原国立公園(画像の中央部分) 西からのびるフィヨルドは、ハンダンゲルフィヨルド。
「ハルダンゲル高原は、ヨーロッパ最大の高原で、その広さは7500平方kmにおよぶ。見渡す限りの平原に、大小の湖や小川 が点在している。霧ケ峰高原や八島湿原のような高原が、その100倍以上のスケールで広がっているのである。標高は1000mから1250mとそれほど高 くはないが、ノルウェー南部では森林限界が800mほどなので、1000mでも高山帯の趣である。」http://homepage2.nifty.com/navi-and-map/normt.html より引用
 
                     画像3 ソグネフィヨルドとヨステダール氷河国立公園
 フィヨルドの典型例として、よく教科書に写真付きで紹介されるのがこのフィヨルド。ノルウェイ最大のフィヨルドで一大観光地でもある。
 「フィヨルド内の最も深い場所は内陸部にあり、その水深は1,308mに達する。逆に入口付近はそこが土台のように盛り上がっており水深は100m程度である。フィヨルドの幅は平均5kmほどであり、両岸は1000mを越える崖に囲まれている。」この部分はウィキペディアからの引用