Vol.4−02   2002年02月号
北海道の屋根 大雪山系

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


 LANDSAT 7号のETMデータは、空間解像度が15mに上がった新しいタイプのセンサーである。イコノス衛星の解像度が1m以下だから、これとは比べようもないが、中地形を捉える時には広範囲を一度に、しかも従来より細かく観測できるという特徴を発揮する。画像2-3は、北海道中央部から西部のシーンから切り出した大雪山周辺の画像である。
 大雪山系は、北海道中央部,石狩山地北西部に位置する火山群で、最高峰旭岳
(2290m)をはじめ,標高2000m前後の山が十数座あり,北海道の屋根といわれている。大雪山系へのアプローチは比較的容易で、北側の黒岳へは山頂の近くまでロープーウェイが通じている。稜線上には様々な周氷河現象が分布しており、周氷河地形研究のメッカでもある。
 「山の地図と地形」(田代博・藤本一美・清水長正・高田将志、山と渓谷社、1996年)は、本当に良くできた本でわかりやすいし役に立つ。この本の、大雪山(清水長生さん執筆)の解説もまたわかりやすい。大雪山には、カールのような氷河地形がいくつも分布するが、多くは爆裂火口や地滑りの可能性が高いと考えられてる。しかし、カールである可能性も捨てきれないものもあり、今後の研究が期待されている。このあたりの話も、この本に詳しい。
 さて、画像2は、雲を白く残雪を水色で区別してみた。残雪の分布が非常によくわかる。画像3で北北東に開く馬蹄形状の地形は、約3万年前に形成された直径2kmの御鉢平(おはちだいら)カルデラである。周辺の旭岳などはその後噴出した新しい火山である。北海道には、御鉢平をはじめとして摩周、屈斜路、阿寒、支笏など多くのカルデラが存在するが、その理由として北海道が千島弧と東北日本弧との接合部にあり、地殻構造や応力場が多量のマグマ噴出に好都合だからだと説明されている


   図1位置図 中央が大雪山系



画像2 大雪山系全域のLANDSAT画像  RGB:TM5,ETM、TM2



画像3 御鉢平周辺の拡大画像  
御鉢平の直径がおよそ2km
RGB:TM3,ETM、TM1


画像2〜3 2000/06/17 LANDSAT-7 ETM+


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