国士舘大学地理学会巡検が長野県の上高地と乗鞍岳で実施されました

2024年9月9日・10日の2日間,国士舘大学地理学会の夏季巡検が,9名の学生の参加により実施されました。今回のテーマは「中部山岳地域の亜高山帯・高山帯における地形と植生の観察」で,行き先は長野県の上高地と乗鞍岳です。引率は佐々木と小山先生です。

我々が上高地に到着するちょうど頃に雨が降り始める雨雲レーダー予報になっていましたが,少しの雨宿りだけですみ,雨の中を歩くことはほとんどありませんでした。大正池から梓川沿いを歩き,河童橋までの間の地形と植生を観察しました。2日目の乗鞍岳も雲が厚く,巡検を開始する乗鞍大雪渓下に到着時には雨が強く降っていて,参加者一同は中止を覚悟しました。1時間ほど待っていると雨が止んだので,剣ヶ峰と富士見岳に登り,高山帯の地形を観察しました。周囲の山々を遠望することはできませんでしたが,晴れ間が出て下界がときおり見えるなど,高山帯にいることを実感できました。夕方,乗鞍岳から松本に戻り,2日間の巡検を無事に終えることができました


 
写真1 上高地の入り口,大正池に到着しました。このときは穂高もまだ少し見えていましたが・・・。 写真2 大正池の湖畔に進むときに雨が強く降り始めました。トイレ休憩しつつ雨具を身に着けました。
 
 
写真3 森の中で少し雨宿りし,雨がやんだ隙に大正池の湖畔で記念写真を撮影。穂高の稜線は見えなくなっていました。  写真4 梓川沿いの林道を歩いているときに晴れ間が出てきました。最近,毎日熊が目撃されているので,森の中での森林や地形の観察は断念しました。
   
写真5 梓川に架かる穂高橋から,今年の梅雨時期の大水によって生じた梓川の流路変更の痕跡を観察しました。 写真6 上高地の観光スポットのひとつウエストン碑を見学しました。この巡検においては,その碑よりも,碑が埋められた岩盤こそが観察すべきポイントです。この岩盤は世界で最も新しい花崗岩体と考えられる滝谷花崗閃緑岩で,北アルプスの急速な隆起を想起させます。
   
 
写真7 河童橋の上流側では山体崩壊による流山の一部やそれを構成する巨礫が河床に露出しています。  写真8 河童橋で記念写真撮影。大勢の観光客が記念写真を撮影しているため,自分たちの撮影をするタイミングはなかなか巡ってきませんでした。
   
   
写真9 インフォメーションセンターで展示物を見学し,上高地での巡検を終えました。これのあと県境を越えて岐阜県側に移動し,平湯で宿泊しました。   写真10 雨のため,1時間遅れで2日目の巡検を開始しました。乗鞍大雪渓下から登山道を登り,肩の小屋に到着したところです。
   
   
写真11 少し晴れ間が出てきました。下界の雲が切れて乗鞍スカイラインや乗鞍高原の鈴蘭地区が見えてきました。 写真12 剣ヶ峰の山頂が見えてきました。雲が薄いうちに山頂まで行ってしまいましょう 
   
 
写真13 剣ヶ峰の山頂での記念写真撮影。この写真では解りにくいが,山頂はけっこう狭いのに大勢の登山者がおり,けっこう危ない。 写真14 剣ヶ峰を下りて,こんどは富士見岳に向かいます。周氷河性平滑斜面が綺麗です。 
   
 
写真15 富士見岳の南側の鞍部にひろがる砂礫斜面で周氷河性の微地形を観察しています。ここには信州大学の信州山の環境研究センターが設置している気象観測ステーションがあり,引率者の佐々木が行っている地温観測などの状況も見学しました。 写真16 富士見岳から下りて,これで巡検は終了です。みなさまおつかれさまでした。