2024年9月21日 地理学野外実習Dを実施しました

東京都板橋区・北区(佐々木コース)

地理学野外実習D佐々木コースには18名の学生が参加しました。JR板橋駅に集合し,武蔵野段丘とそれを開析する浅谷,石神井川の河川環境と堆積物,飛鳥山付近の地形を観察しました。


   
写真1)板橋駅東口に集合。はじめに全体の行程を確認しました。ここから武蔵野段丘面を歩き地形の起伏を実感します。 写真2)板橋駅付近は小石川の上流部にあたります。台地を刻む浅谷を横断し,内水氾濫が生じうる場所を確認しました。
 
 
写真3)新板橋駅付近,旧中山道の国道17号が通る部分が尾根になっている。周囲の地形を観て,これから進む方向を確認しています。  写真4)武蔵野段丘面を開析する石神井川の浅谷底に下りてきました。このあたりの浅谷の幅は500mほどあります。石神井川はその浅谷をさらに下刻して流れています。
   
写真5)石神井川の深く掘削された河道を観察しました。石神井川の河道は増水した河川水を速やかに流出させるために掘削・拡幅されてきました。 写真6)石神井川に面する公園を観察しました。もともと蛇行して流れていた石神井川の河道を直線に改修したことによって生まれた旧河道が遊歩道や公園として残っています。
   
   
写真7)石神井川の河道に設置された水位観測点のひとつを観察しました。石神井川には河川水位をリアルタイムで監視する観測点が数カ所設置されています。降雨によって水位上昇する場合には東京都から情報が発信されます。  写真8)一部の河床には武蔵野段丘構成層の下位に位置する「東京層」が露出しています。その様子を観察しました。
   
   
写真9)音無さくら緑地の露頭を観察しました。石神井川の旧河道の攻撃斜面に自然露頭が見られる唯一の場所で,東京層が見られます。東京層の地層からは貝化石が産出され,かつては東京層の模式地とされました。  写真10)石神井川は,かつては王子・飛鳥山の西側で南流し,上野方面に流れていましたが,最終氷期極相期~後氷期初頭に河川争奪を受け,飛鳥山の北側を切って,低地に流れるようになりました。その狭窄部を観察しました。
   
   
写真11)JR王子駅の北側にある北区の施設「北とぴあ」の17階展望室から武蔵野段丘面や石神井川の河川争奪地点を遠望しました。上野方面に続く旧・石神井川の谷である谷田川の浅谷も観察しました。  写真12)飛鳥山にある北区飛鳥山博物館で武蔵野段丘面を覆う風成堆積物や東京低地の地層の剥ぎ取り断面を観察しました。自然露頭がほとんど無いなかで,地形の成り立ちを考えるためにとても重要な展示物です。ここでの見学をもって実習を終えました。