VOL.3-08 2001年08月
「黄土地の等高線耕作」
※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
大柄な客車を十数両も引っ張り、重連の機関車が山地を越えて行く光景は素晴らしかった。通路や網棚に人が寝ているという、信じられないほどの満員状態など、車窓からのすばらしい風景を見れば耐えられるものだった。写真1は、大きなカーブで最後尾に近い車両の窓から身を乗りだし望遠レンズで撮影したものだ。十数年前の日本でも、SL列車で旅行するなどということは遠い昔話になっていた。広州から杭州へ、そして蘭州から西安、ウルムチまで硬座(木のベンチに薄いクッションを貼ったような座席)の長い旅だった。
(写真1)
蘭州から西安に向かう「河西回廊(走廊)」は、ほこりっぽい蘭州で数日を過ごした旅行者を清々しい気持ちにさせる場所だと思う。河西回廊とは中国甘粛省の黄河から西,きれん山脈の北側にそった狭く細長い地域で、長さ約1000km,幅数km〜100kmの平地のことをいう。時に沙漠をみながら、全体的には乾いた大地を鉄道が走るが、車窓に黄土地帯特有の景観を見ることができ、耕地の緑が美しい。黄土層の厚さは数十メートルから百数十メートルに達するという。黄土は内陸の乾燥地から季節風で運ばれた細粒物質が堆積したものといわれるが、雨による侵食に弱い。地形学の教科書によく出てくるが、土壌侵食の結果,垂直に近い谷壁をもつ雨裂が無数にできて、そこからどんどん解析が進んでゆく(写真2)。
(写真2)
このページで示した写真では、高原面が比較的保たれている部分が多いように見える。この地域の土壌侵食は、過去の濫伐により植被が失われたためとも考えられるが、現在は等高線耕作などによる努力が進められている(写真3)。
(写真3)
写真4も車窓から撮影したものである。斜面を利用した登り窯のように見え、敷地内に積まれたものを見ると、レンガ工場か。
(写真4)
<写真1〜4:いずれも1984年8月,長谷川 均
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