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VOL.4-09  2002年9月

地球温暖化と海面上昇
※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
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※ この号のオリジナルな原稿は、管理者の不注意により上書きされ残っていません。下記の記述は思い出しつつ新たに書き直したものです。

 ジャーナリストの神保哲生さんによる「海面上昇で沈みつつあるツバルのレポート」がNHK TVで放映されていた。彼は、彼自身のビデオサイトでもこれと関連したニュースを配信しているが、大潮の時に地面から吹き出した海水で地面が沈んでゆく映像にショックを受けた人も多いだろう。ツバルは環境難民として周辺諸国へ自国民の移住を打診しているが、「環境難民」と認定されることは難しいらしい。いちど、環境難難民を認定してしまうと、今後数十年間で受け入れなければならない難民はうなぎのぼりに増大するからだ。
 海面上昇で国が沈むという話になると、よく「われわれは沈みたくない」といモルディブ大統領の話が紹介される。しかし、沈むのはモルディブだけではないし、沈まないまでも大きな影響を私たち自身が受けることになる。
 海面上昇の影響は、すでに多くの場所で顕在化している。南太平洋の島々では、台風や高潮の影響で海岸線が浸食されるとおう災害が徐々に広がり始めている。写真、AからDはグアム島で台風後に撮影したものだ。「今まで波などこなかった場所にまで暴浪が押し寄せ、海岸道路や並木道がだいなしになってしまった」という話を聞かされた。このような話は、このあといろいろな島々でどんどん増えてくることになったのである。

(写真A)                       (写真B)

(写真C)                        (写真D)

 気候変動に関する政府観パネル(IPCC)によれば、へたをすると今後の百年間で最大で1メートル近く海面が上昇するという。沿岸地域における高潮被害を受けやすい人口は、人口増加を考慮しなくても、現在の4600万人から 9200万人(海面上昇50cmの場合)〜1億1,800万人(海面上昇1mの場合)に増加すると見積もられている。1mの海面上昇の場合、マーシャル諸島では80%、バングラデシュでは18%の土地が水没する。不安をあおるわけではないが、このような現実に直面していることはもっと宣伝されて良い。日本など海面上昇の原因をこれまで作り続けてきた国々は、環境難民を受け入れる準備もそろそろ必要となろう。


           (写真:1992年6月いずれも長谷川 均 撮影)


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