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VOL.5-08  2003年08月

「スキーで国境越え−スイス・イタリア国境−」
※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。


 8月なので,あえて涼しげな写真を紹介します…….

 日本だけでなく世界的に有名なスイスの観光リゾート地であるツェルマット(Zermatt).日本からの観光客はもっぱら夏場に集中するが,ツェルマット自体は,世界的にはスキー・リゾート地として有名である.

 写真Aはツェルマットを象徴するマッターホルン(Matterhorn:4478m;ゴルナグラート・クルムホテル(Gornergrat Kulm Hotel)より).マッターホルンはスイス・イタリアの国境に位置しており,写真Aでマッターホルンから左に伸びる尾根上がスイス・イタリアの国境線になっている.冬場は周辺一帯がスキー場になっており(除雪車のライトが写真Aにも見える),スキーを履いたままスイスからイタリアへと国境越えができる.

 では,スイス側から出発し,イタリア側へ行ってみよう.いざ出発!(写真B:ゴルナグラート(Gornergrat)駅前よりマッターホルンを望む;注・ゴルナグラートはイタリアへ行くコースからは外れています)

写真A 写真B

 ロープウェイとスキー用Tバーリフトを乗り継いで国境へ向かう途中.写真Cの中央付近に見える建物は国境にあるレストハウスやロープウェイの駅.ヨーロッパのスキー場では,スキーリフトよりも立ったまま引っ張ってもらうTバーが一般的.リフトよりも環境負荷が少ないこと,氷河上にコースがあるので支柱が氷河とともに移動してしまうのでリフト用の支柱を立てにくいことから,Tバーが主流になっているようだ.

 写真Dは,ほぼ国境線上にあるTバーリフトの終点(の少し上)にある標識.どちらに滑って行くかで,イタリアに行くか,スイスに行くかが決まる.なお,写真D中央の岩山はクラインマッターホルン(Klein Matterhorn:3883m;写真では見にくいがロープウェイの駅があります). 

写真C 写真D

写真Eはイタリア側・チェルヴィニア(Cervinia:発音的には「ツェルビナ」に近い)のスキー場.南側に開けているので,ツェルマットよりもやや明るい印象がある.ツェルマットとチェルヴィニアの共通リフト券はツェルマットとチェルヴィニア側いずれにおいても売っています.

 写真Fはチェルヴィニアの街.本当の街の中心はもう少し道路を下ったところにあるようで,ここに見えるのはスキー場に隣接するリゾートホテルやレストラン群.レストランでパスタを食べました.ツェルマットより物価は確実に安い.支払いはもちろんユーロ(スイスフランも使える). 

写真E 写真F

 ツェルマットは「今月の地理写真・03年1月」で紹介したように,ガソリン車進入禁止だが,チェルヴィニアにはそうした規制はない(写真G).自動車があると日本のスキー場とあまり変わらない気がしてしまうのはツェルマット滞在のためであろうか.

 ロープウェイを乗り継ぎ,再び国境へ.写真Hのロープウェイの山上駅が国境にあたる.国境といってもパスポートコントロールなどはない.ロープウェイのホーム上に国境線が引いてある.イタリア人親子(だと思う)が写真を撮っていた.はいポーズ!(写真I).

写真G 写真H

 写真Jはロープウェイの駅から少し進んだところ.ここで分岐を間違うと違う国に行ってしまうのだ.ここからツェルマット側に戻って,ホテルへ.

 この国境越えスキーは,日本のスキー場で中級コースを滑れる人であれば技術的には問題なく行けます.ただ,防寒と天候には注意が必要.高山なので天気がかわりやすく,完全にホワイトアウトする時があります.ホワイトアウトした場合,コース上を滑っているのか分からなくなる時もあります.コースを外れるとクレバスがある場合も多く,極めて危険.また,完全にホワイトアウトした場合,周りがほとんど見えないので,自分で滑りながら,どのくらいの斜度の斜面を,どのくらいのスピードで滑っているのかさえ分からなくなる時がありました.初心者は,経験者(スキーというより登山の経験者)か,ガイドと行った方が安心です.ヨーロッパのスキー場は基本的に「at own risk」です.

写真I 写真J

<写真A〜J:2002年12月〜2003年1月,加藤幸治撮影>



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