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VOL.6-02  2004年02月

Ise Foot (アイスフット 氷脚)冬のオホーツク海沿岸でみられる特異な現象

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 ちょうど今の時期、オホーツク海では流氷が接岸する(日々の状況は流氷情報センターを参照)。流氷の接岸が遅れたり、流氷がやってくる前に海が荒れると、いろいろ面白い現象が現れたり特異な地形に出会うことが出来る。今月は、そんな現象を幾つか紹介しよう。流氷が押しよせれば、それはそれで面白いものが見られるのだが、それはまたの話としたい。

<写真A> Ice Volcano <写真B> Niveo Aeolian Deposits <写真C> Niveo Aeolian Deposits
 写真Aは、噴火した火山のように見えるIce Volcano とよばれるもの。海に薄い氷が張りはじめる頃にとできる。氷は凍結すると体積が増えるが、圧力の逃げ場がないと、弱い部分が破れてできるらしい。アイスランドなどで見られる氷河の下の火山噴火もIce Volcano とよぶがこれとはべつもの。
 写真Bは、ちよっと珍しい現象。冬のオホーツクはホントに寒いけれど、空気は乾いている。海浜に露出している砂はサラサラしている。これが吹雪まじりの風に飛ばされて後浜に堆積すると雪と砂の互層ができる。このような雪混じりの風成堆積物が写真のB,C。
 写真DとEは Ice Foot(氷脚)とよばれるもの。暴浪が打ち寄せ、それが次第に凍結して成長してゆく。ただし、流氷が接岸すると、海は一転して穏やかになるからIce Footは成長を止める。流氷が接岸前に、オホーツク沿岸に大きな低気圧が接近し大波が打ち寄せ、それに合わせて冷気がやってくるとIce Footの当たり年になることが多い。写真EのIce Foot は、私がこれまでに見た最大のもの。よくこんなものができるなぁと、驚くほどの大きさだった。

 なお、流氷用語の解説は、第一管区海上保安本部のホームページにある。
<写真D> Ice Foot 表面は砂で覆われている <写真E> 巨大なIce Foot 中央やや右の人物が持つ標尺は3m
写真A、Dの人物は、横浜共立学園高校で理科の先生をしていた田島康之さん。北海道で調査をしていた二十年ほど前、ほとんど彼と一緒に道内をまわっていた。オホーツク、根釧、十勝、石狩など思い出も多い。一般入試で入ってH大学の陸上部キャプテンをつとめ、箱根駅伝を走り、卒論は友人のぶんと二本書き、実業団の誘いを断って大学院へ。「服装のセンスのないヤツは研究のセンスも無い」と教員や助手を笑い飛ばしていた元気なヤツだった2003年晩秋に亡くなった。

(写真A・D:1982年2月、B・C・E:1984年2月、いずれも長谷川 均撮影)



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