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VOL.7-12  2005年12月

「中部国際空港・セントレアの物流機能と「観光」」


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 2005年2月17日に開港した中部国際空港・セントレア.市町村合併の中で「南セントレア市」という名称が新市の候補にあがったこともあって,何かと注目されている.そもそもセントレアというのは日本の中心(中部地方)にある空港ということから,CentralとAirportを合わせた造語であり,それを市名に入れようとすることには反対が出るのも無理からぬところである.
 空港というと旅客輸送の結節点としてまず考えられるが,中部国際空港は旅客輸送においてだけでなく,あるいはそれ以上に物流の拠点として注目されている.また,空港を見渡す展望風呂やレストラン,さまざまな商業施設の存在から,「観光」・レジャーの面でも注目され,多くの来港者を集めている.物流機能,観光機能の一端をみる機会をえたので,今回はその紹介である.

写真A 写真B

 写真Aは中部国際空港の管制塔.いわば空港の象徴.写真Bは貨物地区のゲートの1つ.貨物地区は保税地域でもあるため,入るのにはいくつかのゲートを通る.

写真C 写真D
写真E 写真F

 広々とした貨物地区の敷地(写真C).大型トラックや特殊車両等の通行を考えてのことであろう.
 空港は「国境」の最前線.植物検疫等の役割も果たしている.燻蒸施設等も当然ある(写真D).関連の「役所」が入った合同庁舎も(写真E).
 フォワーダー(FORWARDER)など多くの物流業者が入居している(写真F).
 物流施設は機会がないと簡単には見ることはできないものの,空港内の「観光」としては,「セントレア・ツアー」と呼ばれる見学ツアーが用意されている(詳しくは中部国際空港のホームページを参照のこと;http://enjoy.centrair.jp/see/see-inspect/index.html).

写真G 写真H
写真I 写真J

 セントレア・ツアーのパンフレット(写真G)を片手に,ガイドさんの案内で空港施設が見学できる(写真H:水色のベストがツアーガイドの方).見所では説明をしてくれる(写真I).

写真K 写真L

 4階にある,2つの街並みを再現したテーマパークのような商業施設群.和風の街並みは「ちょうちん横丁」(写真J),洋風の街並みは「レンガ通り」(写真K)と呼ばれている.
 1階の情報コーナーにはちょっと勉強になる資料が並んでいる(写真L).4階の展望デッキで飛行機も見られる.デッキは入場無料(写真M:奥の飛行機は貨物地区に駐機中.国内では珍しいロシアの飛行機も).

写真M

 産業施設の見学については興味ある人がいても,個人ではごく一部しか見せてくれなかったり,団体は景気によって入れてくれたり入れてくれなかったりする.セントレア・ツアーのように有料でも,施設に魅力があれば,多くの人が産業施設「観光」として訪れるであろう.気兼ねなく行けるので,有料であることがかえって歓迎される側面もある.産業施設「観光」も十分、観光対象になるものの,まだまだ発達していないのが現状である.セントレア・ツアーは特別な場所に入るものではないが,「産業観光」のひとつの形として,先駆的な事例であるといえるであろう.

<写真A〜M:2005年10月,経済地理学会中部地域大会巡検にて,加藤幸治撮影>

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