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VOL.8-10  2006年10月

アメリカ合衆国プレーリー草原の今


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 ヨーロッパから移民が入る前の北アメリカ大陸では、イネ科草本を中心としたプレーリー草原がグレートプレーンズに広がっていた。この分布はカナダ南部(アルバータ、サスカチュアン州の南部)からテキサス州に至り、また、東西方向ではロッキー山麓からイリノイ、インディアナ州にかけてくさび状に伸びていた。この東に突き出たネブラスカ、カンザス、イリノイ州あたりのプレーリー地帯は Prairie WedgeまたはPrairie Peninsula と呼ばれる(図1)。
Prairie Wedgeは北で北方針葉樹林(亜寒帯林)に、南で落葉広葉樹林(温帯林)に接しており、この広がりは気候環境(カナダの降雪量や大西洋から入る冬の湿潤大気)によって説明されている(Borchert 1950)。
 年降水量500mmの線(西経100度線)より東側の中西部 (Mid West) では、高茎草本の密生するプレーリー草原が発達したが、ほとんどの土地は小麦・大豆・とうもろこしなどの農地に変えられた(過去の今月の地理写真参照)。年降水量500mm以下の西部では、カナダのアルバータ、サスカチュワン州からアメリカのワイオミング、
ニューメキシコ州にかけて短茎草原が広がり、ここも今はほとんど放牧地・牧草地である。また、かつては草原地帯に「海岸の砂粒のように」分布していた無数のバッファローも、19世紀半ばのわずか20年間でほとんど姿を消した。
 以下の写真はアメリカ中西部からロッキー山麓にかけて年降水量700mmから400mmの地域を東から西に追う。
写真1 写真2
ミネソタ州パイプストーン国立公園のプレーリー草原保護区
図1:プレーリー草原の分布とPrairie Wedge
 写真3:ミネソタ州南西部の小麦畑 
写真4:サウスダコタ州の牧草収穫風景 写真5:サウスダコタ州の牧草地
写真6: 写真7:
ワイオミング州北東部の放牧地
写真8:  写真9:
 ワイオミング州北東部、Thunder Basin 国立草原
写真10: 写真11:
ワイオミング州北東部、Thunder Basin 国立草原
写真12:ワイオミング州北部、Keyhole 州立公園付近の放牧地

( 野口泰生 撮影)


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