しかしながら、どこの鉄道でもそうですが、幹線をはずれたローカル線の列車にこそ旅情があることが多いものです。一般に北インドはこすっからく気が抜けないのに対し、南インドは基本的におおらかでのんびりしているというのが定説ですが、鉄道についても同じことが言えそうです。写真5~7は、そんな観光メインルートではない旅の中での一コマです。
ところで、インドの列車すべてに共通する不思議な特徴として、写真5を見るとよくわかりますが、どの車両の窓にも必ず鉄格子が取り付けられている点が挙げられます。この頑丈な鉄格子は、せっかくの車窓風景を眺めるのに邪魔になるため、はた迷惑なのですが、おそらくこれは窓からの乗り降りや盗難を防止するために付けられてものと思われます。たしかに一部列車の殺人的な混み具合を見ると、鉄格子は必需品なのかもしれません。ちなみにエアコン車(冷房付きの車両をこう呼び、料金も冷房なしとは異なる)だと窓が曇りガラスのはめ殺しとなっていて、全く外の景色が見えません。しかも、同様のことは熱帯の国の列車やバスによくあることですが、冷房は総じて利きすぎる傾向にあり、何時間も乗っていると凍えることも稀ではありません。
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