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VOL.12-04  2010年4月

JR西日本、木次線とその沿線

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JR西日本の木次線(きすきせん)は、日本海沿岸、島根県の宍道駅から、中国山地、広島県の備後落合駅にかけて走るローカル線である。乗りたくてもなかなか乗ることができない路線であるが、たまたま全線に乗車する機会をもつことができたので、その様子を紹介したい。

<写真1 無人駅となった備後落合駅の駅舎> <写真2 備後落合駅に停車中の芸備線三次行>

今回の行程で起点となったのは、山間の「秘境駅」として知られる備後落合駅である(写真1)。木次線は、中国山地付近を縦断する芸備線からこの駅を起点として北に分岐し、山陰本線の宍道駅に至る。木次線のターミナルであるこの駅は、かつては芸備線の急行停車駅として栄えたが、このけっして小さくない駅舎も今日では無人化している。2009年秋の時点では、芸備線の三次・広島方面の発着が最も多くて1日に7本程度、芸備線の新見方面と木次線の発着は1日3~4本であった。写真2は芸備線三次行の車両である。

<写真3 備後落合駅から芸備線新見方面を望む> <写真4 備後落合駅から発車する木次線の車両>

写真3は、備後落合駅から芸備線の新見方面を望んだ様子である。今日では反対の三次方面から来た列車は、全て三次方面に折り返してしまう。つまり、芸備線新見方面への直通列車は無くなっている。筆者は当初、三次方面から新見まで行く行程を探ったが、旅程とダイヤの都合上、どうしても新見方面に乗り継ぐことができなかった。写真4は、備後落合駅に停車中の木次線宍道行の車両である

<写真5 木次線の出雲横田駅> <写真6 奥出雲町、横田の市街>

備後落合駅を出発した木次線の車両は、県境を越えて島根県に入ると、標高727mの三井野原駅から3段スイッチバックを経て中国山地を一気に駆け下りる。山地を下りきった所にあるのが出雲横田駅(写真5)で、ここから宍道駅までの区間では主に渓谷沿いと平野部を走り、列車の運行本数は3倍程度に増える。横田の町(現、奥出雲町)は、小京都の風情が漂う綺麗な町で、町並みの保全も行われていた(写真6)。写真5に見られる神社を模した駅舎は、昭和9年の開業当時からのものとのことである。

<写真7 出雲横田駅の案内板> <写真8 トロッコ列車「奥出雲おろち号」>

出雲横田には、『古事記』や『日本書紀』に登場する奇稲田姫(クシナダヒメ)を祭った稲田神社があり、駅の案内板にて紹介されていた(写真7)。また、木次線では臨時便としてトロッコ列車「奥出雲おろち号」が運行されており、神話の国としてのイメージが演出されていた(写真8:出雲横田駅に停車しつつあるトロッコ列車「奥出雲おろち号」)。

<写真9 映画『砂の器』で知られる亀嵩駅> <写真10 木次町付近の農村>

出雲横田から宍道方面に進むと、次の駅は松本清張原作の映画『砂の器』で有名になった亀嵩(かめだけ)である。写真9は、車窓から撮影した亀嵩駅の様子である。写真10は、亀嵩よりさらに北の雲南市木次町付近の農村のランドスケープで、山頂の高さが揃った石見高原の里山にコナラ林(画面中央~右)や竹林(画面左)が広がっている。

<写真11 宍道駅前の様子> <写真12 宍道駅付近の里山>

写真11と12は、木次線が山陰本線に接続する終点、宍道駅前のランドスケープである。写真12に見られるように、宍道湖の湖岸に近いこのあたりになると、里山ではシイノキなどの照葉樹が目立っている。

<写真1~12:2009年10月30~31日,磯谷達宏 撮影>


                                              

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