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VOL.12-03  2010年3月

ゆいレール 沖縄都市モノレール

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 昨年(2009年)の秋、26年ぶりに沖縄で日本地理学会が開催されました。学会の後、那覇の街で同年代の研究者達と話していたら、某先生が「学生の頃、三越百貨店の裏に1ドルハウスという安宿があったけれど、あそこはいまどうなっているの?」と言い始めました。すぐ近くなんだから、自分でみてこいよと言いたいところですが、私達にはもう軽いフットワークは残っていなかったのです。結論からいうと、1ドルハウスはもうありません(たぶん)。私も傾いたその姿を見たのはずいぶん前のこと、近隣の建物は一新されているので、たぶんもう無くなっているはずです。那覇の街はゆいレールができ始めた頃からどんどん変わっていきましたから。
 私が沖縄へ通い始めた学生だった頃から、那覇のモノレールの話はできあがっていて、あちこちで建物が無くなり、駅の予定地だとか、レールの支柱が建つのだとかいう空き地があったような気がします。そのモノレールが華々しく開通したのは2002年のことでした。
 那覇モノレールは「ゆいレール」という名称です。「ゆい」は「ゆいまーる」からとったそうです。ゆいまーるとは、見返りを期待しない助け合い というような意味です。ゆいレールの車体の形やボディーカラーはいまひとつで、ノロノロ走る姿もあまりパッとしません(これは私の主観ですけれど)。それでも、私はこのモノレールが好きで、空港からいつも使っています。タクシーに乗ることも少なくなりました。これが開通するときは、バスやタクシーの乗降客が減るだろうと心配され、また渋滞緩和の面からは期待されもしたのですが、那覇の街の渋滞はいっこうに減る気配はありません。二両編成で経路もたいして長くないので、「やっぱり車が便利さぁ」ということなのでしょう。終点までの乗っても30分もかかりません。
 運転席の後ろに横並びに4つ座席があり、進行方向をゆっくり眺められるのはステキです。これは展望席というのだそうです。最後尾の展望席に座れば、去りゆく景色を眺めることもでき、これまたサイコーです。線路好きにはこたえられません(写真5)。ここに座って景色を眺めていると、海岸に面した那覇の街が意外に凸凹していることに気がつきます。車窓から見る家並みの向こう側に丘陵や小山があったりして、降りてから地図を眺めて確認しないわけにはいかない気持ちになります。バスや車に乗っていたときには気がつかないことでした。初めて乗った頃「やはり地理屋は高いところに上らなければ」と思ったものでした。
 
写真2 雨の日、「安里駅」近くのホテルの窓から
写真1 たそがれ時の県庁前付近を走る「ゆいレール」 写真3 川や道路の上を走るせいか、きついカーブも多い
(写真4参照  安里駅ホームから)
写真4 牧志駅と安里駅間の大きなカーブ(グーグルアース画像による) 写真5 高低差もきつい。「儀保」~「首里」間で、最後尾の展望席から(斜め線は雨滴の跡)。
<いずれの写真も2005年、2009年秋に長谷川均撮影

                                              

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