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VOL.13-09  2011年09月

都市農村交流を通した地域振興:群馬県川場村

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 群馬県の北部に位置する川場村は、村域面積の約83%が森林で占められる山村である。緑豊かな田園空間は、後述する世田谷区民との交流事業にとって重要な資源となっており、様々な地域振興策が模索されてきました。写真は、村南部のブルーベリー公園の展望台から眺めた川場村です。手前に見えるのが、道の駅「田園プラザ」。ファーマーズマーケットやレストラン、地ビール工房やパン、ミート、ミルク工房など、多彩な施設が並んでいます。

 川場村は、1981年に世田谷区と「区民健康村相互協力に関する協定(縁組協定)」を結びました。これは、農業と結びついた観光事業を展開することで村の活性化を目指した川場村と、豊かな自然環境の下で余暇時間を過ごすとともに自治体・住民間の交流を深めて「第二のふるさと」づくりを進めたい世田谷区の思惑が一致して実現できた事業といえます。毎年、村内にある2つの健康村「ふじやまビレジ」と「なかのビレジ」を拠点に、5月中旬から11月上旬に世田谷区内の小学校の5年生(約17,000人余り)が、川場村内で様々な活動を行っている。詳細は、

http://www.vill.kawaba.gunma.jp/toshikouryuu/toshikouryu.pdfが参考になります。

写真1  ブルーベリー公園から見た川場村

写真2  道の駅田園プラザに集まる世田谷区の児童たち

 近年、川場村ではブルーベリーの栽培が拡大しています。2011年現在の作付面積は約20haであり、中野集落や湯地集落をはじめとして広く村内の各地区で栽培されています。

 7月から8月にかけてブルーベリーの出荷が最盛期を向かえます。この時期、道の駅「田園プラザ」の裏山がブルーベリー公園として開放されます。ここには約5,000本のブルーベリーの木が植えられており、無料で摘み取り体験(園内食べ放題)が楽しむことができます。

写真3  山麓部に作付けされたブルーベリー(湯地集落)

写真4  ブルーベリー公園


 2007年に設立された川場村農産加工株式会社は、村内の果実等の農産物加工を担う重要な役割を果たしています。2010年度から、川場村農産加工株式会社は(有)ティア・ツリー(農業者)と(有)川場物産センター(小売業)と連携してブルーベリー等の農産物加工品の開発・販売事業を始めており、多様な経済主体への効果が期待されています。

 宮地ゼミでは、川場村農産加工株式会社からの依頼を受けて、2010年度からブルーベリーの加工品開発の支援を行っています。昨年度は、東京都内で行われた展示会や販売促進会などに参加し、市場調査なども行いました。今年度は、数回にわたる検討会を経ながら、各種の商品提案、販売支援等を行っています。

写真5  川場村の農産物加工拠点:川場村農産加工株式会社

写真6  ブルーベリーの加工品検討会

 川場村と世田谷区の縁組協定は、2011年に30周年を迎えました。これを記念して、今年「田んぼアートツアー」が実施されています。6月に田植え体験が行われ、世田谷区民約30名が川場村の皆さんと一緒にコシヒカリと古代米を植えました。秋になると「世田谷・川場 30th」の文字が古代米で黒く浮き上がるはずです。

 参加者のなかには小さなお子さんたちもたくさんいました。子供たちは泥遊びに夢中。一緒に遊びたそうな大人もいました・・・。この取り組み「世田谷・川場 縁組協定30周年記念事業」の一環として行われていますが、川場村ではこの事業の実行委員会として「縁人-enjin-」という組織が立ち上がっています。「縁があって集まった人が、動力(エンジン)となり活動し村を元気にしていこう。農村の良いところと言えば、人と人との繋がり、それを大切にしていこう。」という意味が込められているそうです。縁人のブログでは、稲の生育状況の情報などをみることができます。http://www.vill.kawaba.gunma.jp/enjin/diary.cgiをご参照ください。

写真7  縁組協定30周年記念事業「田んぼアートツアー」

写真8  子供たちは泥遊びに夢中・・・

写真1・4・6 2011年8月 宮地忠幸撮影、写真2・3・5 2009年9・10月宮地忠幸撮影、写真7 2011年6月 宮地忠幸撮影、写真8 2011年6月 志村衛撮影 

                                           

                                              

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