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VOL.14-07  2012年07月

  三浦半島小綱代の自然

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 三浦半島南部の西海岸に面する「小網代の森」は、谷の源流部から海に注ぐ小流域全体の自然が良好な状態で保全されている地域として知られている(写真1、2)。 三浦半島最南部一帯の台地では、上位から下位にかけて引橋面・小原台面・三崎面という3段の海成段丘がみられることが知られている。小網代の森の小流域は、上流部から下流部にかけて、これら3段の段丘面の全てを侵食して形成されている。小網代湾は奥の深い入り江となっているが、写真3は西に開く湾口部を望んだ写真で、中央に見られる定高性のある台地面が三崎面(下位面)に相当する。写真4は入り江の中程から小網代湾の奥(北東方向)を望んだ写真で、手前に広がる三崎面よりも一段高い面(写真奥)が小原台面(中位面)に相当するようである。入り江は写真4のさらに奥まで広がっている。  
   

写真1 小網代の森についての案内板

  写真2 小網代の森についての案内板  
   
   

写真3 湾口部

 

写真4 入り江の中央付近の様子

 
 
   
 写真5 湾奥から湾口方向を望む  

写真6 小流域が海に注ぐ地点から奥方向を望む

 
 写真5は、入り江の奥から湾口部方面(西側)を望んだ様子である。写真6は小流域が海に注ぐ地点から東方向(流域の奥側)を望んだ写真で、右手前の高まりが三崎面(下位面)、左が小原台面(中位面)、それよりも一段高く見える最奥の地形面が引橋面(上位面)に相当するようである。 このような入り江の最奥部付近では、写真7に見られるように、岩石海岸、砂浜、ヨシ原、雑木林といった自然の要素が、一連のセットとして良好に保全されている。写真8はヨシ原の様子。  

 

 
   
写真7 小網代湾最奥部の様子   写真8 湾奥に広がるヨシ原  
 
 
写真9 湾奥の浜で見られたカニ   写真10 砂浜に打ち上げられた海草  
 小網代はカニの観察場所としてもよく知られている。砂浜にはアマモとみられる海草(うみくさ)が打ち上げられていた(写真10)。流域の大半を占める植生は雑木林(二次林)で、林冠には常緑広葉樹(照葉樹)も交えるが、さまざまな種類の夏緑広葉樹が多くみられる(写真11奥)。低地の河辺林では、「あばれ木」状のジャヤナギが優勢である(写真12)。  
 
写真11 ヨシ原と雑木林   写真12 低地のジャヤナギ林  
 <写真1~12:2010年5月9日,磯谷達宏撮影>  
 
                                           

                                              

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