Back Number をみる

VOL.16-04  2014年04月

  小江戸」:その2 -佐原-

※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

※写真や画像の引用に関する問い合わせは、こちらのリンク先ページをご覧下さい。

「今月の衛星画像」 を見る


 Vol.14-11(2012/11)に引き続いて、「小江戸」と称する佐原(千葉県香取市)を取り上げる。佐原は、利根川舟運の拠点として江戸中期以降栄えた。利根川を航行する高瀬船などから小舟に積み替えて、小野川を遡上し、香取街道と交差する地点を中心に問屋が軒を並べていた。そのような問屋の一つが伊能家であり、伊能忠敬が家督を譲り隠居してから、全国の地図作成に取り組んでいったことは有名である。忠敬の旧宅は現在も残されている(写真A)。忠敬旧宅前の橋は「樋橋」と言い、農業用水が小野川と交差する樋(写真B右手)であった。町並み保存修景の中で歩きやすい人道橋に掛け替えられているが、現在も用水が通り、毎日30分ごとに小野川に落水している(写真C)。
 佐原の町並みに関する調査は、1970年代や80年代にも行われているが、保存活動が本格化するのは90年代以降である。90年代前半に市と住民による保存計画の策定や景観条例が制定され、1996年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。その後、国からの補助金もあり、建造物等の修景が進められてきた。その変遷を写真で見ていく。

写真A 

写真B
 

写真C 写真D
写真Dは、香取街道と小野川が交わる忠敬橋の角に近世末から建つ中村屋商店で、1983年の光景である。写真の左端に忠敬橋上に架かっていた歩道橋がわずかに見える。後に撤去され、信号が設置された(写真H参照)。写真Eも1983年の写真で、小野川沿いの近世後期の代表的建築物である正上醤油店である。この頃既に醤油醸造は止め、「いかだ焼き」という佃煮販売が主となっていた。最近は食品販売の営業を拡大しているが、景観は当時と変わらない(写真F)。

写真E 写真F
  写真GとHは、忠敬橋横の中村屋商店前から西側の香取街道を見たもので、Gが1991年、Hが2009年である。写真Gの右端が正文堂書店、2軒おいた古い建物が小堀屋そば店で、ともに明治初期の建築である。写真Hを見ると、間に挟まれた2軒も歴史的建築物に復元されていることが分かる。
写真G  写真H
(写真A・C・F・Hは2009年9月、B・Gは1991年2月、D・Eは1983年3月、いずれも岡島 建撮影)
                                          

                                              

今月の地理写真バックナンバー