手もとにある何冊かの高校地理の教科書には,「アブラヤシ」「ココヤシ」「ナツメヤシ」の写真が載っています.よくできていると思っている某社の教科書には,最後のカーラーページに「ナツメヤシ」の写真と名称が載っていますが説明はありません.本文のどこかに記載があるのでしょうが,索引には登場しません.何とも中途半端な感じです.高校生に何を知らせたくて写真を載せているのでしょう.
私は長らく「アブラヤシ」「ココヤシ」「ナツメヤシ」の木の区別がつきませんでした(たぶん今でも).収穫後の用途が違うことは知識として理解していますが,木を見てもどれがどれと当てられません.地理の教師としては情けないですが,にわかにはわからないのだからしょうがありません.たぶん果実の大きさや付き方が違うのですが,遠目には???
「アブラヤシ」や「ココヤシ」は油をとります.「ナツメヤシ」は乾燥させて食します.デパ地下へ行けば干しぶどうやチーズを売っている店で「デーツ」という名称の乾燥したナツメヤシを買うことができます.中東の空港では土産物として加工されたデーツを売っています.チョコレートでコーティングしたり干菓子にのせたり様々です.
私は十年ほど前,初めて中東に降り立ち,たまたまデーツを口にしました.市場で買ってきたものをワインをのみながら食べたのでした.その時初めて食べたと思います.調査でくたびれ果てていたので,滋養強壮になるといわれ,干し柿みたいでとてもおいしく,やめておけば良いのに続けざまに十個くらい食べました.その夜,私のお腹はお祭りでした.それっきり,ほとんど食べなくなりました.デーツは私の腹にはやさしくないと学習したのです.滋養強壮どころかゲッソリでした.
中東に長らく住んでいる人に話しを聞くと,昔のデーツはそれほど美味くなかった.イスラエルでの品種改良がうまくいき,とても上等なものができるようになって一気に周辺の国で栽培面積が拡がったということです.ここ二,三十年の話しのようです. |
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写真1 ヨルダン北西部の町イルビドの市場で売られるデーツ
それぞれ仕切りごとに値段が違うが試食しても私には違いが分からなかった |
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写真2 酒とデーツ
ローカルワインのMount Nebo はソコソコ美味い.中東のどこかで作られているウイスキーは不味い.イスラムの国でも,キリスト教徒がいる町では酒も手に入る.酒屋探しは嗅覚に頼る |
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写真3,写真4 ヨルダン渓谷北部に拡がるナツメヤシ農園
死海の北部,ザルカ川の下流に拡がる農園.ここのナツメヤシはまだ若く収穫できる状態でないようだ. |
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写真5 ナツメヤシ農園の中にあるハトの家
エジプトでは結構どこにもあるというハトの家.ヨルダン渓谷ではそれほど多くない.ここで育てた若いハトは食用にされる.内部はたくさんの棚のようなもので作られているそうだ. |
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写真6 新たに植えられたナツメヤシ |
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写真7 ,写真8 収穫期を迎えたナツメヤシ
受粉は人が手でおこなうという.雄花の房を雌花の房の上に振りかざすそうだ.雌花を付けるヤシだけを植えている農園もあるという.写真7では,果実の房に袋がかぶせてある. |
写真 2005,2009 ,2010, 2011年 長谷川均撮影
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