VOL.22-10 2020年10月
「ヴェルサイユ宮殿と庭園
内田順文
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17世紀後半、太陽王と呼ばれたルイ14世の命によってパリ郊外の小さな村ヴェルサイユに建設された、壮大なフランス・バロック様式の宮殿と精緻なフランス式庭園は、おそらく世界で最も有名な宮殿でしょう。フランス絶対王政期の象徴ともいわれるこの宮殿は、1979年の第3回世界遺産委員会で早々に世界遺産として登録されています。
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写真1 ヴェルサイユ・シャンティエ駅、プラットフォーム |
写真2 パリ通りより、ヴェルサイユ宮殿 |
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ヴェルサイユには3つの鉄道駅がありますが、長距離列車も通過するヴェルサイユ・シャンティエ駅から旅をスタートします(写真1)。駅から市街地を500mほど歩くと、市街を貫くパリ大通りに合流し、その終端にヴェルサイユ宮殿の入口があります(写真2)。ルイ14世の象徴である太陽の印で飾られた金色の門をくぐると(写真3)、いよいよ宮殿内です。 |
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写真3 ヴェルサイユ宮殿のロイヤル・ゲート(黄金の門) |
写真4 王室礼拝堂1階 |
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大勢の観光客の流れに従って、まず宮殿の北棟に入ると、ルイ14世の晩年に増設された王室礼拝堂があります(写真4)。その先には「ヘラクレスの間」と呼ばれる大きな部屋があり(写真5)、そこから宮殿2階の王の大居室群が始まります。これはかつて玉座が置かれていた「アポロンの間」です(写真6)。その突き当たりから宮殿の西側、庭園に面した全長73mの長大な部屋が有名な「鏡の間」になります(写真7)。鏡の間の裏手には王家の私室があり、これはルイ14世の寝室です(写真8)。本館の南端、南棟との境にある「戴冠の間」には、ダヴィッド「ナポレオン1世の戴冠」とグロ「アブキールの戦い」が飾られています(写真9)。 |
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写真5 ヘラクレスの間 |
写真6 アポロンの間(玉座の間) | |||||
写真7 鏡の間 | 写真8 ルイ14世の間(寝室 | |||||
写真9 戴冠の間) | 写真10 ラトヌの階段より庭園全景 | |||||
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写真11 ヴェルサイユ庭園、ドラゴンの噴水 | 写真12 グラン・トリアノン、宮殿より見た庭園 | |
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つねに観光客で混み合う宮殿を出て、庭園に出ましょう。宮殿の西側に拡がる広大な庭園は、鏡の間からまっすぐに延びる軸を中心に、完全な左右対称にデザインされ(写真10)、森の木立の中には1400もの噴水と無数の彫像が幾何学的に配置されています(写真11)。庭園の北西部には歴代の王が建てた離宮(トリアノン)が点在しており、こちらはルイ14世の離宮だったグラン・トリアノンの宮殿と庭園(写真12)とルイ15世が作りマリー・アントワネットが愛したというプチ・トリアノンです(写真13)。 |
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写真13 プティ・トリアノン、宮殿の全景 | ||||||
<写真1〜13:2019年 内田順文 撮影 |
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