VOL.24-08
2022年08月
「
長島 弘道
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インスブルックというと、日本のある年代の人は1964年1月に開催された「インスブルック冬季オリンピック」を思い出すのではないでしょうか。これは、同じ年の10月に「東京オリンピック」が予定されていたこともあって、記憶に残りやすかったのかもしれません。インスブルックでは1976年にも冬季オリンピックが開催されました。 インスブルックの街を歩くと、マリア・テレジア通り、マクシミリアン通りなどハプスブルク家とのかかわりを想起させる地名に出会います。少し歩を進めると、王宮、王宮庭園などやはりハプスブルク家ゆかりの建築物・施設が残されていることに気づかされます。一方、市街地周辺に目を転じますと、2000mを超える山並みがすぐ目の前に現れます。歴史とアルプスの自然、インスブルックには知的好奇心を刺激する何かがあるように思われます。ハーフェレカール山の山頂、山頂付近から見た市街地を紹介します。 なお、ハーフェレカール山へのケーブルカー・ロープウエイの運営主体、旧施設開設年次、運行区間(3区間)と各駅の標高は以下の通りです。 ① 運営主体:ノルトケッテ ケーブル ② 旧来の施設は、第1区間のケーブルカーが1906年、第2および第3区間のロープウエイは1928年に開設された。いずれも2005年に閉鎖。その後、新 規計画の策定を経て2006年 から2007年にかけて施設の整備・運行開始。 ③ 3区間の乗り物の種類、運行開始 第1区間 コングレス・フンガーブルク間:ケーブルカー、運行開始:2007年12月。 第2区間 フンガーブルク・ゼーグルーべ間、ロープウエイ、運行開始:2006年12月。 第3区間 ゼーグルーべ・ハーフェレカール間:ロープウエイ、運行開始:2007年1月。 ④ 各駅の標高 コングレス:560m、フンガーブルク:868m、ゼーグルーべ:1905m、ハーフェレカール:2269m。 |
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マリア・テレジア通り 左手“RATHAUS GALERIES”は商業施設。正面山地は、ノルトケッテ連峰。 | 黄金の小屋根前付近の賑わい 写真正面、バルコニー風の部分の屋根が「黄金の小屋根」。金箔施工。チロル領主となったマクシミリアン1世専用の桟敷席として1500年に建設された | |
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黄金の小屋根前を少し離れる 建物の出窓は「エルカー」(Erker)といわれチロル地方の建築物の特徴とのこと。デザインは多種多様。 | 露地 繁華街の通りから一歩離れるとこうした静かな空間に出会うことが多い。 | |
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ホーフブルク宮殿 ハプスブルク家の宮殿。現在はテーマごとの博物館。マリア・テレジアゆかりのストーブ、食器、タペストリーも展示されている。 | 王宮庭園 夏は、木々のみどりが豊かな公園。散策には最適(注1) | |
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アンブラス城付近から見たインスブルック(注2) 後方はノルトケッテ連峰 |
ハーフェレカール山に登るケーブルカーの始発駅コングレス駅の入り口(地下駅) ケーブルカーはイン川の地下を通り対岸のフンガーブルクまで運行されている。運行距離:1838m。 | |
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フンガーブルク駅からゼーグルーベに向かうロープウエイからの眺め インスブルックの街が一望できる。山地の植生とスキーリフト(注3) | ゼーグルーベ展望台から見たインスブルック 後方斜面にスキーのジャンプ台はベルクィ-ゼル・ジャンプ台。ここで2度冬のオリンピックが開催された。 | |
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ロープウエイ終点で下車。山頂へは歩いて登る。 標高差65m、所要時間は15~20分位。 | ハ-フェレカール山 山頂の十字架 標高2334m。 | |
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山頂付近の景観 ロープウエイの駅(左)とアマチュア無線の施設(右) | 山頂からアルプス山脈を見る アルプスの岩肌がすぐそこに感じられる。 | |
注1 この公園が最初に造られたのは16世紀。その後ルネッサンス様式、フランス様式、イギリス様式(1858年以降)を取り入れて今日に至る。 面積:10 ha,管理:連邦政府環境部。 注2 アンブラス城:旧市街から南東に約4km、ハプスブルク一族のフェルでナンド2世が過ごした城として知られている。 注3 インスブルック近郊のゼーグルーベ展望台付近は、ハイキングやスキー場として市民に親しまれいる。ここにはスキーリフトは2基設置されている。ゼーグルーベリフト(1947年設置)は1966年に雪崩によって支柱が壊れたので新規に設置された。もう一方のフラウ・ヒット(1950年設置)は1996年に全面改修された。 (2008年8月2日 名誉教授 長島弘道 撮影) |