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VOL.25-05
  2023年05月

  九寨溝

内田 順文


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 九寨溝は中国四川省の北部、アバ・チベット族チャン族自治州にある自然保護区で、岷山山脈から流れ出た流水によって穿たれた谷に沿って色鮮やかな湖と滝が連なり、1984年には国家級風景名勝区に指定された中国を代表する景勝地です。1992年には付近の黄龍とともにユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。
 
                            

写真1 九寨溝風景区北門  写真2  風景区内唯一の交通手段となるグリーンバスの乗り場

  九寨溝の自然環境は、現在、政府によって厳重に管理されており、出入り口は風景区の北端にあたる一か所しかありません。かつては訪れる人も稀な秘境だったこの地域は、その美しさが知られるようになって以降、観光客の数が激増しました(写真1)。風景区内は一切の自動車の乗り入れが禁止されており、風景区内での移動は天然ガスで走るグリーンバスのみになります(写真2)

写真3  樹正溝景区、樹正群海  写真4  樹正溝景区、諾日朗瀑布

 九寨溝の谷は、北から見るとちょうどアルファベットのYを逆にした形をしており、その3本の谷が樹正溝(じゅせいこう)、日則溝(じっそくこう)、則査窪溝(そくさわこう)と呼ばれます。入口から南方につづく谷が樹正溝景区で、比較的平らな谷と開放的な景観が見どころとなります(写真3)。樹正溝の南端、三つの谷の交点付近にある滝が諾日朗瀑布で、幅が310mもあり、中国一を誇ります(写真4)。

 
写真5  日則溝景区、珍珠灘瀑布  写真6  日則溝景区、五花海

 日則溝景区は九寨溝の西南奥に位置し、カルスト地形を流れて大量の石灰分を含んだ水によって形作られた石灰華段丘が連続して湖群をなしており、深い森に覆われた九寨溝のハイライトともいえるエリアです。珍珠灘瀑布は平坦な珍珠灘から一気に流れ落ちる40mの滝で、多くの観光客が滝の下で足を止めます(写真5)。珍珠灘の一段上の段丘にあるのが五花海で、水中の有機物が石灰に覆われて湖底に沈むため湖水が透明で、水中の倒木も石灰に覆われることで腐敗せずに残っており、九寨溝独特の景観として最もよく知られている風景です(写真6、7)。

 
写真7  日則溝景区、五花海遠景    写真8 則査窪溝景区、民族楼
 
写真9  則査窪溝景区、五彩池  写真10  則査窪溝景区、長海

 九寨溝の名のもとになったチベット人の村は、民俗文化村として風景区の中に見ることができ、現在では観光業に特化してしまいました(写真8)。残る三本目の則査窪溝景区の最奥部には透明な青として知られる五彩池があり(写真9)、そのさらに奥には九寨溝で最も大きい長海があり、岷山山脈の大パノラマを望むことができます(写真10)。

     
(2014年 内田順文 撮影)



                                              

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