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VOL.26-05

  2024年05月

  アイルランド・ダブリン

長島 弘道

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 2023年7月、国際ソロプチミスト世界大会がアイルランド・ダブリンで開催され妻が参加したので私も同行しました。ソロプチミストは女性のロータリークラブといわれています。会期は3日間、会場は コンベンション センター ダブリン(CCD)。参加者は約2000人。2020年に創設されたアフリカ連盟の会員にとってははじめての世界大会参加なので皆張り切っていました。閉会後、西海岸のゴールウエイ行き、4泊5日。移動手段:バス。所要時間:片道2時間30分。
 
往路は、エールフランスを利用。現在、ロシア上空は飛行ができないのでカザフスタン、トルコ経由でパリまでの所要時間は15時間、乗り継ぎに2時間、パリからダブリンは2時間、計19時間。
 
復路はKLM。アムステルダムで乗り継ぎ、なぜか韓国インチョン空港に着陸。ここでいったん降りる。機内清掃。 同一座席に再搭乗、成田着。
 
ダブリンは、アイルランド共和国の首都、政治・経済・文化・交通の中心地。ダブリンの人口は146万人、全人口515万人の29%(2022年、外務省アイルランド基礎データ)。インターネットで検索するとダブリン都市圏人口は国全体の40%との数字もあります。
 
ここでは、ダブリンのドックランド地区、中心部の二つのメインストリート周辺、ギネス・ ストアハウスについて紹介します。
 
写真1 ベンション センター ダブリン(CCD)
コンベンション センター ダブリンはリフィ川河口付近ドックランド地区の再開発事業の一
環として建設される。1998年着工、2010年開館。青いガラス張りの巨大な円筒が特徴。  
  写真2  サミュエル・ベケット橋
ダブリンの中心部を東西に流れるリフィ川にかかる橋には、アイルランド出身の著名人の名前がつけられている。例えば、ジェイムズ・ジョイス(小説家・詩人)、ダニエル・オコンネル(政治家)など。サミュエル・ベケット(戯曲家・小説家・詩人)橋もその一つ。ベケットは、日本では演劇「ゴドーを待ちながら」の作者として知られている。開通:2009年。全長:120m、高さ:48m。
 
 
写真3 サミュエル・ベケット橋の夜景
アイルランドのシンボルになっているハープをイメージしたデザイン。その弦の部分に明かりをともすという卓越した発想に圧倒される。
 

写真4  サミュエル・ベケット橋南詰めTHE FERRYMAN
中央の建物はタウンハウス・ザ フェリーマン。夜になると1階にあるパブの前には大勢の人が集まりビールを片手に談笑している。かつての建物を生かした再開発。

 
 
写真5 サミュエル・ベケット橋からリフィ川上流を望む
左端高層ビルはリバティホール、その右は税関(Custom House)(注1)、レンガ色の建物はヒルトン ガーデン イン。手前の帆船は移民船ジーニー・ジョンストン号。
  写真6 移民船ジーニー・ジョンストン号
1848年から1855年のジャガイモ飢饉の折に、アイルランド人移民2500人(16回航海)をアメリカに運んだ帆船。現在停泊しているのは2002年に復元されたもの。(注2)
     
 
写真7 ジャガイモ飢饉のモニュメント(1)
ジャガイモ飢饉を伝える等身大のモニュメント。 製作者はRowan Gillespie(1997年)。タイトルは、”Famine”。少しの持ち物、皆裸足。
 

写真8 ジャガイモ飢饉のモニュメント(2)
上記掲載写真の一部を拡大。

     
 
写真9 貸自転車
利用料金: 30分以内無料、1時間0.5ユーロ、2時間1.5ユーロ。

写真10 アイルランド移民博物館
2016年開館。創設者:コカ・コーラ会長兼CEOネビル・イズデル(Neville Isdell)。1820年に建設された倉庫を改修して博物館にする。世界に離散しているアイルランド人の活動を精選された資料に基づきインタラクティヴに展示する。2019年、2020年、2021年に「ヨーロッパ最優秀観光名所」(注3)に選ばれる。

 

写真11 ダブリン スパイア(市販の絵葉書を縮小コピー)
オコンネル橋からオコンネル通りを望む。手前はオコンネル像, その後ろに「ダブリンの尖塔」。オコンネル像は1880年完成。ダブリンの尖塔は2002年に完成、高さ120m。(注4)
 

 

写真12 ジェイムズ・ジョイス像 
この銅像は、ダブリン スパイアの近く、Earl Street Northの路上に設置されている。ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)の主要作品:「ダブリン市民」(1914年)、「ユリシーズ」(1922年)など。

     
     

写真13 中央郵便局 
6本の柱が印象的な建物。1916年のイースター蜂起の際には蜂起軍の司令部が置かれた。アイルランド独立運動の象徴的建築物。垂れ幕の表示:GPO博物館ウイットネス ヒストリーで“近代アイルランドの歴史を探検しよう”(注5)

  写真14 リフィ川の南の中心市街地(1)
リフィ川南の繁華街グラフトン通りに直交するデュ―ク通り。店舗の前に置かれた椅子に腰を下ろしコーヒーを飲みながら談笑する人、屋台で花を売る人。この通りのひとつの日常。 
     
     

写真15 リフィ川の南の中心市街地(2)
グラフトン通りに直交するもう一つの通り(名称未確認)。 落ち着いた印象をうける街並み。通りの奥に見える教会らしき建物は歴史的建造物であろうか。

 

写真16 ギネス・ストアハウス
ギネスビールの醸造所ビジターセンター。地下1階から入るとビール麦の生産から醸造過程が階を登るに従ってわかるようにコースが設計されている。

     
     
写真17 ギネス・ストアハウス最上階展望ラウンジから南方ウイツクロウ山地を望む
ダブリン市街を展望できる唯一の建物といわれるギネス・ストアハウス最上階の展望ラウンジ。ここからは南方にウイツクロウ山地を展望する。距離はおよそ50km。
   
     
注1 Custom House。1791年竣工。名称は税関であるが、現在は住宅・計画・地方行政庁の庁舎になっている。その前の通りの名称はCustom House Quay(カスタム ハウス 埠頭)。かつてこの辺りが交易の中心地であったことを想起させる。近くには掘割(運河遺構)もある。
注2 1846年5月18日第1回移民210人がニューヨークに着く。普通船室料金:3ポンド。
注3 Europe’s Leading Tourist Attraction in the World Travel Awards
注4  かつてはここに「ネルソンの柱」(1809年設置)があったが、1966年アイルランド共和主義者が仕掛けた爆薬で損壊、その後アイルランド軍によって破壊された。
注5 GPO(General Post Office, 中央郵便局)ウイットネス ヒストリー展示会場は2016年開設。
     
(2023年7月27日-31日 名誉教授 長島弘道撮影)

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