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Vol.2−4   2000年4月号
「数値地図で見る北海道 有珠山
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 2000年3月31日午後 、火山活動が活発化していた北海道有珠山(うすざん)が23年ぶりに噴火した。北海道新聞のホームページに、噴火直後の迫力ある写真が掲載されている(http://www3.hokkaido-np.co.jp/usu/graph/20000331/index.html)。残念ながら最新の衛星画像が手元にないので、ここでは数値地図を画像化したものを使って、洞爺湖とその周辺の火山地形を眺めてみたい。
 有珠山は1663年以来、過去7回にわたって噴火が記録されている。有珠山の東麓に位置する「昭和新山」は、1944年に麦畑だった場所に溶岩が噴出してできあがった。前回の噴火は、1977年8月で、このときは噴煙が1200mにまで上昇した。この300年あまりの間、有珠山は30〜50年おきに大噴火を繰り返しているが、マグマの粘性が強いため激しい噴火をおこすことが多く毎回のように犠牲者をだしている。
 洞爺湖はカルデラ湖で、直径は約10kmで湖底はほぼ平たんであるが最大深度は179.7mに達する。カルデラの基盤は新第三紀層で,更新世末に多量の軽石流の噴出を伴う大噴火が繰り返されて陥没した。いっぽう有珠山は、洞爺湖の南に位置する活火山で、山体は東西・南北とも約8kmの大きさがある。山頂部に直径1.8km,標高約500mの外輪山をもち,火口原に小有珠,大有珠(741m)の溶岩円頂丘およびオガリ山,有珠新山(653m)の潜在円頂丘のほか銀沼とよばれる小沼がある。また,北麓にはコンピラ山,西丸山,明治新山,東丸山などの潜在円頂丘があり,東麓には昭和新山の溶岩円頂丘がある。
 有珠山は完新世のはじめ,玄武岩・輝石安山岩の溶岩・火山砕漢物を噴出して成層火山を形成したのち,山頂部が爆発で崩壊して外輪山を生じ,多量の崩壊物が岩なだれとなって南麓を覆い,一部は内浦湾(噴火湾)に達した。その後数千年活動を休止していたが,1663年以降、前述のように30〜50年おきに激しい噴火を繰り返している。噴火に先行して局地的な地震を頻発し,地殻変動を伴うのが特徴で,軽石噴火,火砕流,水蒸気爆発などのいずれかが発生し,明治新山,有珠新山のように地盤が隆起して潜在円頂丘を形成したあと,場合によっては小有珠,大有珠,昭和新山のように溶岩円頂丘を出現させた。
今回の活動も、このような有珠山の従来の活動形式を継承していると見なすことができるようだ。        (本文は、勝井義雄、岡本次郎の記述をもとに要約した)

関連リンク
 建設省国土地理院            http://www.gsi-mc.go.jp/WNEW/LATEST/USU/index.htm
 (財)日本リモートセンシングセンター  http://www.restec.or.jp/jpn/news/whatnews.html
 (財)資源・環境観測解析センター    http://www.ersdac.or.jp/


       <これらの画像の使用は、個人的な目的であってもご遠慮ください>  

      
図1:有珠山周辺の地形 (陰影化処理をした、50mメッシュ標高データ)



図2:北方上空からの鳥瞰図


図3:北北西上空からの鳥瞰図

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