Vol.5−04   2003年04月号
サン・アンドレアス断層系   パニック映画のはしり「大地震」の舞台

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


※ 「今月の衛星画像」 2003年は名画・名作の舞台を宇宙からみる という特集を企画しました。
ただし、途中で息切れ、中断があるかもしれません。
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 今月は「EARTH QUAKE」(邦題は「大地震」1974年、アメリカ作品)の舞台となったアメリカのカリフォルニア州です


カリフォルニア湾からアメリカ西海岸に沿って北へ千キロメートル以上続く断層がサン・アンドレアス断層(San Andreas Fault) である。分岐したり並走する多くの副断層群をまとめて、サン・アンドレアス断層系ともよぶ。断層運動は白亜紀末から始まったとされ、最大変位量は 500〜600kmにもおよぶ。この断層は、現在も年平均2〜4cmという割合で動いている。とはいっても、ふつう断層が動くのは地震の時である。しか し、この地域では平時にも動いている場所があり、牧場でいつの間にか家畜がいなくなり、調べてみたら柵がずれていたという話もある。
 サン・アンドレアス断層系の位置は、USGS(米国地質調査所)のサイトにわかりやすい図が載っており断層周辺で発生した大地震の震源も示されている(http://pubs.usgs.gov/gip/earthq3/where.html)。 この断層系に沿って、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど西海岸の大都市が並ぶ。サンフランシスコで起こった1906年の地震では、400km以上にわた り,最大約7mに及ぶ断層変位が出現した。これがきっかけになり、活断層という概念が生まれたといわれる。上でリンクしたUSGSのサイトでは当時の写真 も見ることができる。
 映画「大地震」は、 ロサンゼルスに大地震が発生したという想定でつくられたパニック映画である。研究員が野外調査中に、大地震の兆候をつか んだりするシーンもあったように記憶している。あるいは、調査中に地震が起こったのだったかもしれない。私はこの映画を新宿の大きな映画館で観た。映画で は地震が十分以上も続いた。実際にこんな揺れが続いたら、どんなビルでもあらかた倒れてしまう。この映画では、地震に合わせて観客の身体が震動するような 仕掛けの音響効果が施されていて結構おもしろかった。しかし、十分間も轟音に揺すぶられ続けると、地震が終わるころにはヤレヤレという気持ちになった。
 この映画は、チャールトン・ヘストンやエヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディという当時のスターが出てきたり、壮絶なスペクタクル・シーンに金がか かっているハリウッドらしい映画ではある。ただし、名作かどうかは別の話だ。レンタルビデオで借りて、一度は見ておいても良い。二十数年前の映画だから、 最近のCGを使った地震、噴火モノにはない独特の味を楽しめるだろう。

画像1 東から打ち込まれたクサビのように見える部分がモハーベ砂漠。北西−南東方向の直線的な部分をサン・アンドレアス断層が通る。画像の下部中央付近がロサンゼルス。画像1.2ともに ランドサット7,ETM+,RGB:543。2000年05月01日。
画像2 サン・アンドレアス断層とモハーベ砂漠の境界部分。断層に沿う直線的な谷がわかる山麓の川沿いに見える円形の緑地は、センターピポッドによる潅漑農地である。画像の縮尺は上の地図を参考に類推してほしい(ちよっと難しいけれど)。
上の写真は、サンフランシスコから飛び立ち、セントラルバレーにかかる辺り。この直線的な山麓線もサン・アンドレアス断層系のひとつがつくる断層崖か??。1991年長谷川撮影。

 

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