※ 「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※
Vol.6−04 2004年04月号
「アラスカ 氷の世界 ランゲル・セントエライアス国立公園 」
このページはブロードバンドを使ってご覧ください。画像はWeb用に画質を落としています。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。
「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace
Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
アメリカの国立公園の中でいちばん広い面積を有するのが,ランゲル・セントエライアス国立公園(Wrangell-Saint Elias National Park & Preserve)である。その面積(53,359km2)は,九州と四国を合わせた程度の広さで,大部分が氷河と高い山脈や山地で占められている。また,この国立公園の隣には,カナダのクルエーン国立公園(Kluane National Park and Reserve ,21,980 km2),少し離れてアメリカのグレーシャーベイ国立公園,デナリ国立公園,カナダのタッチェンシニー・アルセク国立公園があり,アメリカ・カナダ国境地域には広大な氷でおおわれた自然保護区が拡がっている。広範囲を観察できる衛星をつかっても,この全貌を捉えるためには膨大なシーンの画像が必要になる。
さてランゲル・セントエライアス国立公園だが,世界各地の探検を支援してきたナショナル・ジオグラフィック協会の最初の支援が,米国地質調査所への1890年のセント・エライアス山行だったという。2003年3月の同誌に,この国立公園のすばらしい写真と記事が載っていた。この記事と写真を見ながら,下の衛星画像を見れば,この地域の理解も進むのではないかと,書くことがないから雑誌記事の紹介でお茶を濁してしまう今月号であった。「地理学者,見てきたようなウソを書き・・」などと揶揄される私どもではあるが,見てもいない「大自然」をそうダラダラ書けるものではない。
図1 |
図2:この画像の範囲は,おおよそ図1の範囲とに同じ。地図ではわかりにくいマラスピナ氷河やベーリング氷河の全貌を捉えることができる。濃い緑色の部分は植生におおわれた場所ではない。おそらく,山地を作る露出した基盤岩や氷河の上に堆積した岩屑を示すものであろう。矩形の三カ所の枠は,図3,4,5の範囲を示す。 2000年8月31日,LANDSAT RGB:541。他の画像も同様。 |
図3:セント・エライアス山。標高5489メートルのこの山は,米国では同じアラスカにあるマッキンリー(デナリ)山に次ぐ高さを持つ。東側の氷河がマラスピナ氷河。 |
図4:マラスピナ氷河 世界最大の山麓氷河といわれ,氷の厚さは300メートルに達するといわれる。ターミナル・モレーンや氷河の上の岩屑が作る縞模様が美しい。 |
図5:ベーリング氷河の末端部分。湾内に浮かぶ無数の氷山が見える。 |