※ 「今月の衛星画像」 2004年のテーマは 世界の国立公園 です ※

Vol.6−08   2004年08月号

Kalbarri国立公園 」 

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 今月もオーストラリアの国立公園を紹介します。カルバリー(Kalbarri)国立公園は、インド洋に面したオーストラリア西海岸の中南部を流れるマーチソン川の下流域にあります(図1、2)。公園内には、赤褐色の大地にユーカリのブッシュが広がり、その中をマーチソン川が蛇行して流れていきます。河床に出るにはガリーを約150m下るのですが、そこには赤〜褐色の堆積岩の露頭が続きます。これらは、約4億年前に堆積したTumblagooda砂岩と呼ばれる海成の堆積岩で、公園内では堆積岩についたリップルマークやマッシュルームロックも観察できます(写真1、2)。
 マーチソン川は、西オーストラリア州内陸部のピルバラ地塊の南縁にあたるRobinson Rangeから南西へ流れる全長約600kmの河川です。川は、乾燥した土地を、複数の時代性を持つ数種類の地質の地域を流れるため、その流域にはさまざまな表情が現れます(図3、4)。



図1:カルバリー国立公園の位置図
パースから北へ約450km、公園はマーチソン川の下流域とカルバリーの海岸の一部も含まれます。河口にあるカルバリーの町は、地元オージーたちの観光地、保養地として有名で、ホリデーになるとパースなどから多くの人が訪れるようです。


図2:マーチソン川下流域のLANDSATトゥルーカラー画像(LANDSAT TM Path89/Row80、2000年6月撮像)
川は、非常に乾燥した土地を流れていく。カルバリー国立公園では、峡谷をつくる。Darling Faultは、オーストラリア西岸の海岸線に並走して南極海まで延長する全長約900kmの断層です。


図3:カルバリー国立公園部分の拡大図
マーチソン川は蛇行しながら峡谷を流れていきます。Aの部分にはThe Loopという名前がついていて、観光地になっています(写真1を撮影)。BはZ-Bendと呼ばれ、ここからガリーを下って河床に降りるルートがあります(写真2を撮影)。


図4:カルバリー国立公園より上流側のマーチソン川
国立公園より上流側は、川幅が広くなり沖積低地を持ちます。画像からは、沖積低地に塩類が吹き出している様子などの乾燥気候独特の地形がみられます。



写真1:カルバリー国立公園の堆積岩に見られた
リップルマーク(The Loop付近のNature's Windowで撮影)



写真2:マーチソン川と堆積岩の露頭(Z-Bend付近で撮影)
この日は、前週に上流域を襲ったサイクロンの影響で、増水していました。


大学院地理・地域論コースM2 鈴木敬子


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