※ 「今月の衛星画像」 2005年のテーマは 道 です ※

Vol.7−08   2005年08月号

ヨルダン渓谷縦貫道 

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 ヨルダン川は、アンティレバノン山脈に源を発し、ティベリアス湖(ガレリア海)を経て死海にそそぐ。ティベリアス湖から死海までは約100kmというところ。川に沿って縦貫道路がイスラエル側とヨルダン側にある。ヨルダン川の両岸はともにヨルダンの領土であったが、1967年の第三次中東戦争以降、西岸はイスラエルの領土になってしまった。死海の南西には、ネゲブ砂漠が広がるが、イスラエルはティベリアス湖からここまで水路を引き、農耕地を造成しているという。
 ところで、死海の北側のヨルダン渓谷をみると、東側のヨルダンでは、矩形の整然とした耕地が目を引く(画像2)。現地で眺めると、これらの多くはビニールハウスであった(写真1)。ビニールハウスの傍らには、井戸が見られることも多く、沖積低地の豊富な地下水を大規模に汲み上げているように見える。ところで、ヨルダン川は降水量の多い季節ほど、塩分濃度があがるという。この流域の自然の特性をないがしろにした過度の水資源の利用が、徐々に悪影響を及ぼしてくるかもしれないと思えるほど、大規模な農業と見えた。このあたりの事情をいろいろ探ってみると、幾つもの調査、報告があるようで懸念される状況にあるようだ。

地図1 ヨルダン川流域
http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80859e/80859E0l.htm
画像1 ヨルダン渓谷を北からみる(LANDSAT ETM+とSTRMのDEMを合成)
画像上端(南)は死海。左がヨルダン高原で、ヨルダン渓谷との比高は500〜600m程度。ヨルダン渓谷中央部の南北に続く緑色のゾーンがヨルダン川の流路で、これが国境となりヨルダン(左)とイスラエルが接する。赤い色のルートはヨルダンの道路でGPSのトラックを赤く表示させている。
画像2 ヨルダン川下流域の農地 LANDSAT ETM+ RGB:321, 2002/3/8
蛇行するヨルダン川のヨルダン側(右)は整然とした農地が広がる。灰色の矩形はビニールハウス。ヨルダンの縦貫道にくらべ、イスラエルの道路は太く整備されているように衛星画像からは見える。

写真1 ヨルダン川東岸のビニールハウス群
現地では、見渡すかぎりビニールハウスが続くように見える。私が見たハウスの中はトマトだった。ハウスの多くは日本の支援で造られたものだという。
写真2 ボーリング作業現場
断層崖から少しヨルダン高地側に入った低地で見られたボーリング掘削現場。地下水のくみ上げ井戸だとしたら、ずい分大掛かりなボーリングだ。
写真3 街道沿いの町
右は野菜や果物、左は履物を売る店。ヨルダン渓谷の農地にはバナナ農園も見られた。街道沿いにはこのような町がいくつかある。その間には検問所も。
写真4 ヨルダン渓谷縦貫道
日干し煉瓦の遺構丘から眺めおろした。左側の高い木に囲まれた果樹林はかんきつ類。街道は農作物を満載したトラックが行き交う。

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