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Vol.2−2 2000年2月号
「初めて地図ができた、幻の大陸 八重干瀬」
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八重干瀬(やびじ、やえびし)は、琉球列島宮古島の北方5〜15kmほどに広がる浅瀬で、台礁というタイプの大小100以上のサンゴ礁からできている。最近の八重干瀬は、旧暦3月3日の「浜下り」ツアーでなにかと話題が多い。春の大潮の干潮時を利用した「浜下り(宮古ではサニツという)」は、女性たちが浜辺に下りて身を浄め、潮干狩りを楽しむ沖縄の年中行事である。
春の大潮になると、八重干瀬は南北10キロ東西6キロにもおよぶ広い範囲が干潮時に1メートルあまりも干出し、その面積は宮古島の1/10程度にまでなるという。そこで、何隻ものフェリーボートが大量のお客さんを連れて八重干瀬に横付けし、「浜下り」を楽しむツアーが企画される。何百人もの人たちが、魚介類を捕りサンゴを踏みつける行為が「環境破壊」にあたるのか「伝統的な年中行事」なのか、地元でも議論が沸騰し、平良市は学識経験者に調査を依頼した。
その副産物か、国土地理院は99年12月に、八重干瀬の地形図を刊行したというわけだ(2万5千分1地形図
八重干瀬(やびじ))。こんな場所の地図が、そうたくさん売れるとは思えないから国土地理院のいうように「調査に役立てていただければよい」という、まったく採算を度外視した事業なのであった(国土地理院そのものがそうであるけれど)。
ところで、この「浜下り」ツアーのお客さんたちはスゴイ。筆者(長谷川)は某TV局が撮影した未編集のVTRを見せられてコメントを求められたが、長いバールで生きたサンゴを威勢良くたたき割り、下に潜む獲物をねらう。当たりはずれも大きいが、そんなことはちっとも気にしないでどんどん歩き回り、割りまくる。いやぁーそのパワーたるやすごいものでした。
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画像データ LANDSAT-5 1986/03/06 RGB:TM321