Vol.4−07   2002年07月号
リアス海岸 -志摩半島の海岸を見る-

このページは画像が大きいので、電話回線での閲覧は時間がかかります
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


研究者や先生とよばれる人たちが書く文章は、妙にくどくいか、逆に簡単すぎるか、あるいはヘンに気取っていて、普通の基準でいえばヘタクソの部類にはいると思う。それに、四十や五十を過ぎて、ボクなどと書くヤツは世間にはあまりいない。ヘタクソで語弊があるなら、自分が思っているほど上手くはないということだ。大学の先生などは日常的に学生の文章を添削しているから、すこし思い上がりがあるように思うが、普通の文章を書かせたらやっぱり下手だ(もちろんボクも含めて)。もっとも普通の文章を書く機会など、あまりないからこれでも生きていける。
 清水義範の「リアス海岸とは何か」(「どうころんでも社会科」講談社刊 所収)は、とても判りやすいリアス式海岸の説明で感心する。ただこれは読み物だから、文書は長いし余計な記述もあるのだが、タクシーに乗ってリアス式海岸を走る話しでこの海岸線の特徴が子供にだってすぐ判る。海面変化の話しだって上手いものだ。引用できないのが残念なくらい。さすがに小説家、ボクたちとは文章力が違う。

 さて、この読み物で最初に出てくるのが志摩半島の的矢湾(まとやわん)で牡蠣を食べる話だ。志摩半島は紀伊山地の東端が沈水してリアス海岸を形作っている(画像1)。画像2をみるとよくわかるが、南東側は台地になっていて台地を刻む谷が沈水しているように見える。
 的矢湾も英虞湾(あごわん)も牡蠣や真珠の養殖で知られる。英虞湾は西側に湾口を向けているが、実は半島の付け根に長さ550m、幅15mの水路が掘削されている(画像では見えない)。この水路は、通水を良くし海水温が下がりすぎないようにという目的で造られたたもので、1932年の開通後真珠養殖は飛躍的に発展したという。
 リアス海岸は、スペイン北西部ガリシア地方の入江(リア ria)あるいはリアの多い地方の名称(Costa de Rias Altas)に由来する。出入りの多い海岸線に、ドイツやアメリカの地理学者がいろいろ理屈を付けてきちんと定義をし、地理教科書の定番用語に落ちつくことになる。このあたりは、ちょっとした本にはたいてい出ている。少し前に、的矢湾の一角に「志摩スペイン村」というテーマパークができたが、「リアス−スペイン−スペイン村を造っちゃえ」という連想で造ったのだろうか??

画像1 (上)                画像2(下)  何れも LANDSAT5 1997/010/21  RGB:543

Back Number をみる