Vol.5−07 2003年07月号
「ルソン島中南部 「地獄の黙示録」のロケ地 」
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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace
Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
※ 「今月の衛星画像」
2003年は名画・名作の舞台を宇宙からみる という特集を企画しました。
ただし、途中で息切れ、中断があるかもしれません。 ※
今月は、「地獄の黙示録」(舞台はベトナムとカンボジア)のロケ地となったルソン島南東部のパグサンハンと中部の太平洋岸にあるバレル周辺です。
ココヤシを調べていてフィリピンの日本人が開いているホームページを見つけ(http://www5.ocn.ne.jp/~hsb/manila01.html)、今月の映画の題材を思いついた。今月の舞台はフィリピンのルソン島である。
ルソン島はフィリピン北部に位置するフィリピン諸島最大の島である。面積は10万4700km2で、同国でもっとも広く、北海道(8万3000km2)よりひとまわり大きい。北にルソン海峡、東はフィリピン海、西は南シナ海に面している。全体的に山地が多く、海岸線近くまで山が拡がっており、南部には多くの火山がある。 小さくてわかりにくいが、フィリピン中部を捉えた画像1にも多くの火山地形をみることができる。
ベトナム戦争の狂気を、フランシス・コッポラが描いた作品が1979年の地獄の黙示録だ。原作はジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』(岩波文庫にある)だという、私なんかには訳のわからない難解な小説で、コンゴ奥地で消息を絶った腕利きの象牙商クルツの探索に向かうマーロウという男の話だ。映画では舞台がベトナムとカンボジア、失踪したクルツがカンボジアの奥地で王国を築くカーツ大佐に、マーロウがウィラード大尉というぐあいになった。
画像2の東側部分に見える山岳部を流れる川が、ウィラード大尉が「王国」をめざしてさかのぼるパグサンハン川(映画ではナン川)であろう。また、画像3は、サーフィン好きの指揮官キルゴアが6フィートの波に乗るため、ベトコンの村を襲いゲリラのこもる林をナパームで焼き払った(ロケ地となった)バレル湾である。
少し前に「特別完全版」が公開された。未公表の部分が追加されてずいぶん長くなり(それでなくても長い映画なのに)、劇場を出たときにはなんだかクラクラしてしまった。それにしても、郊外のシネコンに平日の昼間、ネクタイ姿のサラリーマンが大勢見に来ている映画というのは、私にとって初めての経験だった。この映画の何が、私と同年配とおぼしきオヤジ達をかりたてるのだろう。
なお、この映画の予告編は、まだネットの載っている。また、これくらいの映画になると、情報も多い。難解なこの映画の解題を試みた、ページもあり読んでうなずくことも多い。
地理学教室では2001年に、国際交流の一環としてフィリピンのデラサール大学を訪問したが、このときの巡検記録にマニラ南西部のココヤシ・プランテーションの写真を見ることができる。
画像1(上) 画像1(下)ともに ランドサット5,TM ,RGB:542。1993年。
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画像2 南北方向の構造線を境に、地形が大きくかわる。東側がロケ地となったパグサンハン川の流域。マニラの南東100kmほどにあり、陸路、車で2時間の距離だという。 |
画像3 バレル周辺の海岸 この画像は解像度を落としているのでわかりにくいが、沖積地で植生がはげたように見えるのは大規模な農園である。昇る朝日を背に、低空で侵入するヘリコプターが、ワーグナーの音楽を背景に襲ってゆく有名なシーンは、この海岸で撮影されたのだろうか。この場所は「キルゴア」がサーフィンをするだけあって、たしかに波がいいらしい。案内を読むと「リバーマウスのチャーリーズポイント、パワフルなリーフブレークのセメントポイント、そして、ビーチブレークがある」という。 ランドサットTM 5 ,1989年、RGB:321。 |