※ 「今月の衛星画像」 2005年のテーマは 道 です ※

Vol.7−07   2005年07月号

パンアメリカンハイウェイ・ペルーからボリビアへ 

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ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団 です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団 です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。


 先月はヨーロッパアルプスを横断したので、今月はアンデス山脈をパンアメリカンハイウェイで縦断してみようと思います。
 パンアメリカンハイウェイは、南北アメリカ大陸の国々の主要幹線道路を結び、同大陸を縦断できるようにした道路です(北米側の地図、南米側は図1)。ハイウェイのパナマからコロンビアの一部までは未開通ですが(図1のA部分)、それ以外はアメリカのアラスカからアルゼンチンまで繋がっていることになります。ハイウェイの南米大陸部分はコロンビアからブラジル方面と、チリ方面へ南下する2つのルートに別れます。チリ方面のルートは主にアンデス山脈の山麓を通るものですが、ペルー南部からボリビアにかけては、アンデス山脈の中央部へ登っていきます。
 アンデス山脈中央部は、4000m級と5000m級の2列の平行する山脈から構成され、東側は褶曲山脈のオリエンタル山脈(Cordillera Oriental)、西側は火山のオクシデンタル山脈(Cordillera Occidental)と呼ばれています(CountrystudiesのBolivia-Geography、図2)。ボリビアではこの2列の山脈が大きく開き、その間の標高4000mにも達する内陸盆地のアルティプラーノ(ボリビア高原)に、チチカカ湖ウユニ塩湖(図3)などの湖が形成されました。ハイウェイもチチカカ湖の西岸を通り、ボリビアの首都ラパス、オルロ、ポトシなどこの高地にある町を駆け抜けます(図2)。またウユニ塩湖以南のオクシデンタル山脈では、第四紀火山が多数みられ(地質図ボリビアの火山写真Link)、衛星画像からも火山噴出物の様子を捉えることができます(図4)。

 

図1:パンアメリカンハイウェイの南米大陸側ルートマップ(DEMISの地図を編集)
本線は、アルゼンチンのプエノスアイレスから西へ向かってアンデス山脈南部を横断し、チリのサンティアゴからペルーまで山脈の東側を走ります。エクアドルからコロンビアの首都サンタフェデボゴタまでは山脈の中央部を通ります。コロンビアからパナマまでは未開通です(A部分)。




図2:アルプス山脈中央部アルティプラーノ周辺の衛星画像 (Lansat ETM Mosaics 1999/8/20〜2002/1/24撮像分)。
Orientral山脈とOccidental山脈の間に挟まれた盆地がアルティプラーノです。アルティプラーノには、チチチカカ湖やウユニ塩湖をはじめ、大小多数の湖が存在します。Oriental山脈より東側は冷涼で乾燥した気候ですが、西側は湿潤な気候になるので、緑色の熱帯雨林やサバナが広がっています(植生図:ボリビアチリ)。


図3:ウユニ塩湖のトゥルーカラー画像
(Landsat ETM, Path/Row:001/074, 2003/1/26撮像画像と、 Path/Row:283/074, 1999/8/20撮像画像を合成)
中央の真白な部分がウユニ塩湖です。「塩湖」と名前が付く湖としては、世界最大だそうです。 ウユニ塩湖は、アンデス山脈の隆起により陸に閉じ込められた海水によって作られたと考えられています。 塩湖の周囲には、Occidental山脈の火山がたくさん見られます。周辺の町では、塩の切り出しと塩湖観光業が行われていて、特に冬季(7〜10月頃)は湖上を自動車で走って渡ることができるそうです。


図4:Occidental山脈のSan Pedoro火山とSan Pablo火山
(Landsat ETM, RGB/6/5/2, Path/Row:233/075, 2000/11/10撮像)
San Pedoro火山(標高6145m)とSan Pablo火山(標高6092m)は、チリ北部にある火山です(写真地形図)。植生の乏しい火山地域において、近赤外域のバンドを合成した画像は火山性噴出物を捉えるのに適しています。これらの火山は「San Pedoro Information」にあるように、主に安山岩質の溶岩をくり返し噴出してきました。画像からも色の違いや濃淡、形態からそれらを確認することができます(図中の記号は「San Pedoro TM Image Info」に準ずる。OD:Old cone, YC:Young cone, LP:La Puruna(スコリアコーン), DF:Debris flow, LF:Lava flows, HAD:Hot avalanche deposits, LD: The last stage domes.)。


大学院地理・地域論コース研究生 鈴木敬子

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