※　「今月の衛星画像」 2005年のテーマは　道　です　※

Vol.7−06 　 2005年06月号

「アルプス山脈を横切る道　ローヌ川とライン川の谷｣　

このページはブロードバンドを使ってご覧ください。画像はWeb用に画質を落としています。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。

「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団　です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団　です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団　です。SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団　です。

　冬のアルプス山脈を飛行機で越えた。５分間だけ雲が切れた。座席周りの装備が貧弱な飛行機でモニターもない。したがってGPSで航路を確認などという最近では良くあるサービスも無し。機内誌の地図もこれまた貧弱で役に立たない。手元にアルプスの詳細な地図もないので、せっかく撮影した写真の氷河も同定できないままである。
　ところで、雄大な氷河やU字谷をぼんやり眺めていたらアイスマンの話を思い出した。1991年、オーストラリアとイタリア国境のアルプス山脈で見つかった男の遺体・・・。遺体の傍らにあった持ち物から、新石器時代の遺体ではないかと推測され、C¹⁴による年代測定の結果、5200年ほど前の遺体と確認された。その人物こそアイスマンである。遺体には矢が刺さっていたことから、その死をめぐってさまざまなストーリーが組み立てられた。またその後になって、イタリアとオーストリアの死体所有権を巡る諍いなども起こってしまう。私は十年ほど前になるだろうか、これに関する単行本が出たときに読んでいたが、この文章を書くにあたってWebを探すとアイスマンの話がたくさん出てくる。氷河の中で保存されていた死体の写真なども載っているから、気の弱い人は見ない方がよい（URLは下記参照）。ところで、飛行機の窓から撮った写真には、氷河の上に「道」が写っていた（画像２）。こんな所に何のための道なのか？　場所を特定してから報告することにしたい。

　さて、アルプスの「道」といえばローヌ川の谷とライン川の谷ということになるだろう。小縮尺の衛星画像でみると、一本の谷のように見えるが（画像１）、両河川の間にはアルプスで一番高い峠がある（画像２）。アルプス山中の比較的近い場所に源を持つこの両河川だが、ローヌ川はレマン湖を経て流路を南に向けて地中海へ向かい、いっぽうのライン川は北に向かって北海へ向かう。長い旅の果てにある海は、まったく対照的な色をしているのだ。ライン川の源流のひとつがフォルダーライン川で、スイスのサンゴッタルド St.Gotthard 山塊が源である。その西にあるダーマシュトック Dammastock 山（ローヌ Rhone氷河）からは、ローヌ川が流れ出す。その間にある峠が、アルプス「横断」道路の中でもっとも高い位置にあるフルカ峠 Furka Pass（2431m）である。フルカ峠の氷河にはトンネルが掘ってあり、中へ入れるという（http://plaza.rakuten.co.jp/angel2005/diary/200505110001/）。なお、このアルプスを横断する谷には、スイスを東西に走る19号線が走り、すばらしい風景の中、車を走らせることができる（http://notch.sakura.ne.jp/nao/94euro/fur_p.html）。

＜アイスマンの情報＞

画像１　アルプス山脈　　SensorTerra/MODIS、2002-09-30 　　　　　　　　　　　　MODIS Webより取得した画像を加工	画像２　スイス・オーストラリア国境付近の氷河　矢印の先に道が見える。この写真は本文の説明とは直接関係ないが、衛星画像のどこかを写したもの。　2005/2　長谷川均撮影

画像３　フルカ峠付近のアルプス山脈　　　SensorTerra/MODIS、2002-09-30　MODIS Webより取得した画像を加工