※ 「今月の衛星画像」 2005年のテーマは 道 です ※

Vol.7−03   2005年03月号

マレー半島の景観とマレー鉄道
−シンガポールからタイ・バンコクへ−
 

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 マレー半島はミャンマー、タイ、マレーシア、シンガポールの4カ国にわたる、約2000kmの島弧状の半島です(図1)。マレー半島には、半島を縦断するようにシンガポールからタイのバンコクまでマレー鉄道が敷かれています。当初マレー鉄道は、19世紀後半にマレーシアで発見された錫の運搬のために造られ、その後、農作物の輸送にも利用できることから、沿線にゴムなどのプランテーションが発展しました。
 現在のマレー鉄道は、シンガポールからマレーシア/タイ国境までをマレーシア国鉄が、そこからバンコクまでをタイ国鉄が運営しています。列車はシンガポールを出発すると、ジョホール海峡を渡ってマレーシアに入り、西線と呼ばれる半島西側の路線を経由してタイへ。ここで東線と合流して、半島の東岸をバンコクへ北上します。その沿線には熱帯雨林やマングローブ林、プランテーション、水田、エビの養殖場といった東南アジア特有の景観が広がります(図2,3,4)。


図1:マレー半島の位置とマレー鉄道の路線図(DEMIS World Map Sereverを編集)

 マレー半島やスマトラ島(インドネシア)はアルプス・ヒマラヤ造山帯の東端でインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界にあたり、地殻変動が活発な地域です。2004年12月のスマトラ島沖地震はまだ記憶に新しい災害です(津波被害の報告はインド洋地震津波災害調査研究グループに詳しい)。
 図中の赤線がマレー鉄道のシンガポール−バンコク間の路線図。マレーシア国内は半島の西岸と東岸を通る、西線と東線に別れています。シンガポールからバンコクまで豪華特急として有名なオリエント・エクスプレスのみが直行運転を行っていますが、通常の列車では国境の駅で乗り換えなければなりません


図2:ジョホール海峡(水道)(Landsat ETM Path125/Row59, RGB3/4/2, 2000年4月28日撮像)

 ジョホール海峡を挟み、南がシンガポール、北がマレーシアです。マレーシアとシンガポールはこのジョホール海峡が国境にがあり、両国はコーズウェイ(causeway)で繋がれています。コーズウェイは橋ではなく、埋め立てられて出来たもので、鉄道、高速道路、歩道、飲料水用パイプラインが整備されています。ライブカメラではシンガポール各地の様子がみられます。


図3:マレーシア南部ジョホール県のプランテーション地帯を走るマレー鉄道

(Landsat ETM Path125/Row59, RGB4/3/2フォールスカラー, 2000年4月28日撮像)
 鉄道は、図中の南東部から北西部へ走っていきます。Deapertment of Agriculture Peninsular Malaysiaの2001年の統計によると、南部のジョホール県(図中の地域)では油ヤシがIndustrial Cropsの多くを占め、ココヤシ、ゴムがそれに続く作物になっています(統計資料)。Soil Resourcesのサイトには同県の土地利用図もありますが、凡例がないので詳細は不明です。


図4:バンコク周辺のデルタ地帯(Landsat ETM Path129/Row52, RGB3/4/1, 1999年12月2日撮像)

 鉄道は、画像の西端を南北に走っています。バンコク周辺のシャム湾に注ぐ河川のデルタ地帯にはマングローブ林が広がり、そこを開発してエビの養殖場が作られてきました。画像には河川の澪すじもよく見えます。

 マレー鉄道の旅については、個人旅行の記録がWEB上に多くみられます。また、2004年11月から2005年2月まで「世界の車窓から」でも特集されていました。

大学院地理・地域論コースM2 鈴木敬子


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