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Vol.2−5 2000年5月号
「奄美大島 深い森と変化にとむ海岸線」
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本棚を整理していたら、美しい2冊の写真集が出てきた。奄美大島で出版されたものだ。頁を繰りながら奄美大島の森と海を思い出した。
大海原に浮かぶ緑の島という形容が当てはまるのが奄美大島である。琉球弧のなかでも、沖縄本島に次いで大きなこの島を訪れた人はいちように「この島は山が深い、森が深い」という印象を持つのではないだろうか。となりの集落へゆくにも山を越えなければならない。このあたりが、同じ琉球弧でも、サンゴ礁でできた低島とは決定的に異なる点である。1988年、美しいサンゴ礁をつぶして直行便の飛んでくる便利な空港をつくったのだが、空港から先は不便きわまりない。島の反対側にある宇検村で2週間ほど過ごしたことがあるが、ここへ行くにはバスを乗り継いで、一日ががかりの大旅行だった。しかし、最近は大きなトンネルで山を抜き、交通の便がずいぶん良くなったらしい。
奄美大島の海岸はとても変化に富んでいる。北端の笠利半島には東側に石灰岩の台地があり、その海岸に沿って幅の広いサンゴ礁が存在する(画像2)。しかし、それ以外の地域は大部分で山地が海岸にせまり、急崖が続く。崖の下に狭いサンゴ礁が形成されている。西側の海岸はとくにこれが顕著で、おまけに深い湾入が続きリアス式海岸をなしている。道路は崖の上をとおっていて、そこから眺める景色はバツグンで、琉球列島でも屈指の海岸美を誇っている。画像3で西側に位置する大きな湾は焼内湾である。最深部は100mにも達する深い湾で、湾内の岬の部分には小規模ながら見応えのあるサンゴ礁が付いている。湾奥部にある低地は、最終氷期以降の海面上昇で沈水した谷に流れ込んだ河川が作った小規模な沖積低地で、奄美大島の海に面した小集落はこのような場所にあることが多い。東側の住用湾の最奥部には、このような低地にマングローブが進入しみごとな景観をつくっている。
奄美大島の情報は ここが盛りだくさん。PDFの地図もあります → http://www.amami.com/
画像1、奄美大島の全景 枠内は画像2,3の範囲 下枠の横幅が約35km
画像2、笠利半島と笠利湾周辺 画像の横幅が約20km
画像3、焼内湾(画像の西側上部のほう)と住用湾(東) 画像の横幅が約35km
焼内湾奥北東側には、最高峰湯湾岳(694m)がそびえる
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