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Vol.2−11 2000年11月号
「衛星画像から海面の波をみる」
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海域を含む衛星画像には、しばしば波の回折や反射が捉えられる。ここに示した画像は、波がよく見えるように強調処理を施しているが、2つの島の間を通る風波(おそらく)の海岸での回折や反射が見事に捉えられている。なお、島の周辺の色が異なるのは、陸域や浅海からもたらされた細粒な土壌などが漂っているせいであろう。
この画像に見える2つの島は、沖縄県の宮古島と石垣島の間にある多良間島(南の島)と水納島である。多良間島は東西6
kmほどの低平な島で、琉球石灰岩でできたサンゴ礁に由来する島である。最高点は34.4mだが、この部分は古い砂丘に覆われている。
島の大部分はサトウキビ畑で、作付け地と裸地の色の違いや区画の規則的なパターンが美しく、しばしば航空会社のカレンダーやポスターに使われる。しかし、ここでも「土地改良」が進み均一な傾斜の畑から、降雨のたびに大量の赤土が流出しているらしいことがこの画像から推定できる。
いっぽう、水納島は、この画像が得られた1988年当時の人口が10人である。この島を低空から撮影した写真(下)をある地理学者に見せたら「軍用地のある南太平洋の島か?」と云われた。よく見れば軍事施設らしいものは見えないから、そうではないとわかるのだが、「軍用地のある南太平洋の島」にも見えるところが面白い。天水だけを頼りにする農業では、多くの人口を支えることはできない。水納島の由来は水無島であるとは、別の地理学者の見解である。
画像1 多良間島、水納島の衛星画像
左の画像は波を強調した画像
画像2 水納島の最近の写真 (2000年8月20日 旅客機(B737)より撮影)
<これらの画像の使用は、個人的な目的であってもご遠慮ください>