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Vol.2−9   2000年10月号
「箱根火山
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 先月号に続いて今月も火山。日本列島では今、いろいろな火山の元気がいい。東京や神奈川ではこの9月、三宅島の火山ガスが流れ込み、イオウ臭い日が何日かあった。しかし、首都圏では火山活動による悪影響を、江戸時代の浅間山の噴火以降、経験していない。
 約6万年前、箱根で始まった大噴火は10km3をこすマグマを火砕流として流下させ、破局的な噴火で終了した(町田他、写真で見る火山の自然史より)。この時の火砕流は60km離れた横浜まで達している。箱根火山は約50万年から25万年ほど前まで、巨大な成層火山を形づくっていた。その後爆発的な噴火を何回も繰り返し、山体の崩壊と構築を繰り返しながら大量の火山灰を噴出し、南関東の台地の上に降り続けた。富士山の火山灰とともに、現在これらは関東ローム層と呼ばれる分厚い土壌層を形成している。
 画像でみえるように、現在の箱根外輪山はとても侵食が進み多くの谷によって刻まれ火山斜面らしくない。しかし、カルデラの内部にはいくつかの新しい中央火口丘がある。これらは5000年前から3000年ほど前に活動したことが知られている。近年は大規模な活動をしていないが、研究者たちによれば将来、噴火の可能性は大いにあるということだ。

画像1 箱根火山周辺の衛星画像 
画像の範囲:東西約25km

 首都圏に住む人にとって、箱根とその周辺は手頃な遊び場だ。朝遅く車で出ても、昼には富士を眺める絶景ポイントに立てる。「今日の昼はおいしいウナギが食べたいなぁ」と思いたったら、この画像の南西端にある三島へ行く。富士のすそ野の湧き水で育った極上のウナギが銀座の半値だ。大涌谷の温泉黒卵だって、たまに食べれば結構イケル。桜が散る頃、ちよっと涼みたいなぁと思ったら、芦ノ湖の北、標高1300mあまりの駒ヶ岳山頂に登る(ロープウェイで)。吹きすさぶ風はまだ冬だ。こんな具合に、地理屋の私は理由をつけ年に3、4回はこのあたりに遊びに行くのだ。

 <この画像の使用は、個人的な目的であってもご遠慮ください>   

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