※ 「今月の衛星画像」 2005年のテーマは 道 です ※

Vol.7−09   2005年09月号

ラウダールトンネルでソグネフィヨルドへ ノルウェーの世界最長の道路トンネル 

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 ノルウェーは発電所やさまざまな施設を地下に作るなど、その分野では高い技術を持つ国だといわれています(ノルウェー国HP)。トンネルも多い国で、2000年には南西部のラウダールとアーランドを結ぶ区間に、世界最長の道路トンネル「ラウダールトンネル(Laerdal Tunnel)」が開通しました(Bergen GuideThe world's longest tunnnel page)(図1、2)。トンネルの長さは24.5kmにもなり、内部には安全上のさまざまな工夫がされているようです(engineering.comのHP)。
 また、この地域はソグネフィヨルドに面したフィヨルド観光の名所でもあります。ソグネフィヨルドは全長203kmにもなる、ノルウェーでは最も長いフィヨルドです(図3)。その水面から谷壁は約1000m、水深も1000mにも達することから、このフィヨルドを削った氷河は2000mもの厚さをもっていたと考えられています(wikipedia)(図4)。


図1:ラウダールトンネルとソグネフィヨルド周辺(sogne fjordのmapを編集)
ラウダールトンネルは、首都オスロから続く国道16号線にある。冬季も閉鎖されず、通年の通行が可能だ。



図2:ラウダールトンネル周辺のLandsat ETM画像(Landsat ETM P199/R17, 2000/9/25撮像、RGB321)
赤線がラウダールトンネル。黄線が地上を走る幹線道路である。
ラウダールトンネルのある山間部の地質は、先カンブリア紀の片麻岩である(NGUのサイト地質図が見られる)。
それを削ってU字谷が発達し、海水が入った部分がフィヨルドになっている。
山頂部のくぼ地には、大小多数の湖が見られる。



図3:ノルウェー西南部のランドサットETMモザイク画像(Landsat ETM Mosaics 1999/7/12〜2002/08/25撮像分)
ノルウェーの海岸線はほぼ全域にわたりフィヨルドが発達する。
中央の長いフィヨルドがソグネフィヨルド。ソグネフィヨルド(全長203km)は世界最長のフィヨルドだと言われることがあるが、
実際はデンマーク領グリーンランドのScoresby Sundが全長350kmで世界一らしい。


図4:ソグネフィヨルドの鳥瞰図
(Landsat ETM P201/R17, 2000/7/21撮像画像とP199/R17, 2000/9/25撮像画像にSRTM30を合成。RGB5/4/1)
水色の部分が雪氷域、ピンクの部分は露岩地、白は雲を表している。
フィヨルドからそそり立つような崖は、比高1000mにも達する。しかしその上部は標高1500〜2000mの高原状で、小起伏はあるが比較的なだらかだ。
ラウダールトンネルのある部分も、地表は高原状になっている(画像中の白矢印)。
背後には、ノルウェー最高峰のガルフホッピゲン(標高2469m:画像左上の黄色矢印)がある。


大学院研究生 鈴木敬子