VOL.1-1  1999年07月

「カリブ海のサンゴ洲島、サンブラス諸島」

      

 パナマシティーの国内便専用空港から、小型機に乗って一時間あまり、パナマ運河を眺めながら熱帯雨林を越え、泥っぽい海を眺めながら三百数十の島々からなるサンブラス諸島をめざす。空港のある島は、管制塔(棟)と売店小屋と桟橋だけの植被されているものの、砂だけでできた島だ。滑走路の全長は数百メートル、島の長さいっぱいにとってある。飛行場からは、船外機付の細い小舟で島々へ渡る。客は観光客と行商人か。
 一人がやっと座れる程度の幅の狭い小舟に乗り、波をかぶりながら一時間かけてホテルのある島に着く。ホテルは海岸縁にたつ。この島もやはりサンゴ洲島で、ホテルの床は島の地表面すなわち砂浜のままである。柱は丸太、部屋の仕切は布やベニヤ板であった。トイレは海の上の桟橋の囲い。下には大きな蟹が群れていた。ハリケーンが来たら客はどこへ逃げるのだろう。島には大きなヤシの木が何本も育っているから、島そのものが無くなることはないのだろう。しかし、島の地形は大きく変わってしまうに違いない。島の住人は、クナ族とよばれる人たちでホテルの裏に集落がある。
 
                                     
<1996年06月、長谷川均 撮影>

※写真で上の海岸線に沿う、中央のかやぶき屋根群がサンブラスホテル。左側と下半分が島民の居住地区である。この部分への立ち入りは遠慮したので詳細は不明。

※サンゴ洲島 サンゴ礁でみられる砂は、生物の遺骸からできている。例えばサンゴの破片や貝殻片、有孔虫(いわゆる星砂のような原生動物の殻)などである。サンゴ洲島とは、サンゴ礁に囲まれた少しばかりの高まりに、これらの砂が堆積してできた島のことをいう。 カリブ海やモルジブ諸島などで多くみられるが、琉球列島でも久米島のハテノハマなど、いくつかの例がある。サンブラス諸島のサンゴ礁景観は期待はずれだった。現地の研究者に案内してもらったので、‘見どころ’へ連れていってもらったと思うのだが。

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