Back Number をみる

VOL.3-02  2001年02月

とても元気な北限のブナ林-北海道黒松内低地帯付近-
※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
このページは、1024×768以上の画面でごらんください。画面が小さいと写真の配列位置がこわれます。


 ナラ林と並んで日本の温帯の自然を代表ブナ林は、北海道の渡島半島の付け根にあたる黒松内低地帯付近を北限としている。
写真1は黒松内町歌才のブナ林で、北限のブナ林のまとまった生育地としては最も規模の大きい林である。北限に近いものの、よく成熟した見事な林相をみせている。この歌才のブナ林より北側でもブナ林はみられるが、分布域は断片的で点在するのみである。写真2は、そのうちの1つの白井川のブナ林である。ここのブナもよく生育していた。

  

 <写真1>                         <写真2> 

 このようなブナ林北限域の積算気温や降水量は、ブナ林がまだ十分に生育できる範囲内にある。そのため以前から今日に至るまで、「何がブナ林の北限を決めているのか」についてさまざまな議論がなされてきた <写真3〜4>。  
   
<写真3>                 <写真4> 

 以上のような理由から興味深く現地を歩いてみたところ、黒松内低地帯のすぐ南側の林道沿いでは、きわめて多数のブナが旺盛に生育していた(写真3〜7)。多数生育しているブナは、結実も順調で(写真4)、林道沿いの造成跡地や伐採跡地でもきわめて旺盛に生育していた(写真5〜7)。
これらのことは、現在のブナ林の北限を決めている要因として、現在の気候条件はあまり重要でないことを示しているのではないだろうか?

  
<写真5>                         <写真6>


<写真7>


<写真撮影 磯谷達宏、2000年9月9日〜10日>

 Back Number をみる・今月の地理写真バックナンバー