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VOL.5-07  2003年07月

あいかわらず止まらない赤土流出 石垣島でみる流出防止策と流出現場
※写真が多いので、電話回線での閲覧は時間がかかります。
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 農地から流出する赤土のようすを見る目的で、梅雨入り直後の石垣島へ行ってきた。本土復帰から三十年を経て、土地改良事業という土地改変が一段落し、赤土の流出も少なくなったと思われがちだが、そんなことはない。相変わらずである。そんななか、今まであまり見かけなかった光景も目にするようになった。それも含めて赤土流出防止の工夫を紹介しよう。

まず、この畑からは確実に赤土が流れ出しますよという例から。

(写真1) (写真2)

  斜面に新しく作られた耕地が写真1である。手前にサトウキビ畑、その奥の急傾斜地にパイナップル畑が作られている。ここの畑は、最大傾斜の方向に畝が作られている。土壌流出防止策として奨励されるいわゆる等高線耕作とはまったく逆行するつくりだ。このような状態で、20〜30mm/hの降雨があれば、たちまち畑の土壌は流出をはじめるだろう。では、なぜここではこのようなつくりになっているのか? 等高線耕作にすると、斜面の傾斜と直行する方向にトラクターを動かさなければならない。これでは危ないし、効率が悪いからだろう。効率を考えれば、あえてこのようなつくりの畑になってしまうのだ。
 次は別のパナップル畑である。十数年前に見られた、人の背丈ほどもある侵食溝に比べれば、こんな雨裂はかわいいほうだ。パインは収穫まで二年以上かかるので、その間ずっとこのような状態が続く。傾斜地に多いパイン畑からは止めどなく表土が流出することになる。

 対照的な二枚のサトウキビ畑の写真(写真3、写真4)。いずれも春植えのサトウキビ畑である。一方の畑にはマルチングという敷藁が施してある(写真4)。このような工夫は、土壌流出に非常に有効であることがわかっていたが、従来は人手不足と資金不足でやる人はいなかった。ところが、導入されたハーベスタが、畑で葉柄を適当な大きさにちぎって撒き散らすタイプのものあったことから、図らずもマルチングが実現したということらしい。写真は省略したが、葉柄を束ねてブロックにし畑の境界線に置くだけでも十分流出止めになる。葉柄ブロックは、製糖工場から出る廃物を利用したもので、一個200円から250円で販売されているという。

(写真3) (写真4)

 赤土流出防止工事で赤土が流れ出すという、笑えない現場もよく見かける。写真5は、畑の傾斜を緩くする工事現場の管理が悪く、のり面から赤土が流れ出している現場。
 写真6は赤土流失ではないけれど、河川を汚すおおきな問題の一つである「便乗排水」。畜舎の床が川に向かって傾いていて、雨を利用してふん尿を流し出すしかけ。この川は2キロ先でサンゴ礁の海へ流れ込み富栄養化にひと役かっている。

(写真5) (写真6)

                                        (2003年5月、長谷川 均撮影)  



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