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VOL.5-10  2003年10月

中国第一の聖山:東岳泰山
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 中国山東省にある泰山は高さこそ1524mとそれほど大したことはありませんが、「五岳(つまり中国を代表する5大名山)」の筆頭と言われ、古来中国人にとって最も重要な山だと考えられてきました。なぜなら泰山は「中国教」ともいえる道教の第一の聖地であり、人間が神に近づくことのできる最も神聖な場所と考えられたことから、夏王朝以来、秦の始皇帝や漢の武帝・唐の高宗といった歴代の王や皇帝がこの山の山頂において「封禅の儀(天下統一を天帝に報告する儀式)」を執り行ってきたからです。したがって、清朝時代まで一般庶民が泰山の頂上に登るなどということは大変に畏れおおいことだったわけですが、今では中国を代表する有名観光地となり、数多くの登山客で賑わっています。

写真1 写真2

 泰山の登山口は泰安市にあり、その起点には岱宗坊と呼ばれる門があります(写真1)。ここから頂上まで7000段の石段が途切れることなく続いていきます。途中、一天門(写真2)をくぐり、万仙楼・経石谷・壺天閣といった名所を過ぎると、ようやく中天門にたどり着きます(写真3)。ここまで石段を登るのも大変な苦労ですが、ここから先は石段の傾斜がさらに険しくなり、最後に待ち受けているのが泰山最大の難所「登り十八盤」という急傾斜です(写真4)。

写真3 写真4

 この苦行を越えた先に玉皇頂つまり山頂があります(写真5)。山頂付近には様々な宗教施設や観光施設が建ち並び、また広大な華北平原にそびえ立つ独立峰であるため、山頂からの眺望は抜群のものがあります(写真6)。とくに、泰山に登ったならば必ず見るべきとされているものは、山頂(日観峰)から見る日の出であり(写真7)、それは我が国における第一の聖山である富士山頂で日の出(ご来光)を見ることが珍重されるのとよく似ています。

写真5 写真6
写真7

<写真1〜7:1984年夏,内田 順文>



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