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VOL.7-11  2005年11月

泡瀬干潟

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 サンゴ礁がなければ、沖縄観光の持続的な発展はありえない。ところが沖縄のサンゴ礁は今、とても危ない状況にある。豊かなサンゴ礁生態系は海水温の上昇で壊れ、オニヒトデに食われたサンゴは死に、美しい景観は大規模な公共工事でつぎつぎに失われてゆく。
 旧コザ市(現沖縄市)の東方にある泡瀬干潟を埋めたて「東部海浜埋立計画」として、巨大ホテルや観光施設、住宅地をつくるという計画が進行している。大規模なリゾート施設を造ってペイするのかと、計画を知るだれもが心配するところだが、推進派の市民は将来の街づくりに夢を広げ、反対派の市民は頓挫するのが明らかな計画のために貴重な干潟をつぶすなと訴える。
 工事が始まってから、埋立予定地で新種・希少種の海草類や貝類が続々と発見され、工事は中断を余儀なくされた。不十分な環境アセスメントで見切り発車した結果であろう。ところが、沖縄市議会は、中城湾港泡瀬地区埋め立て事業の是非をめぐる住民投票条例案を反対多数で否決し、着々と計画を推進しようとしている。日本ベントス学会は2005年10月に、工事中断と生物の再調査を求める要望書を県に提出した。しかし、2005年度中には大規模な浚渫工事が始まる。
                    
(本文は、長谷川が執筆した日本サンゴ礁学会講演要旨集(2005年11月)から改変のうえ抜粋しました)

(財)日本自然保護協会を中心に組織された「泡瀬干潟自然環境調査委員会(http://www.nacsj.or.jp/old_database/awase/awase-040723-houkoku.html)」が行い、この成果を環境マップとしてまとめたものである。本調査で作成した環境マップの一部は『うまんちゅぬ宝 泡瀬干潟の自然ガイドブック』.泡瀬干潟自然環境調査委委員会、全23頁に所収済みである。また、3D動画をhttp://www.nacsj.or.jp/old_database/awase/awase-040723-houkoku2-index.html で公開している。

図1 泡瀬干潟の位置
写真1 勝連半島と泡瀬干潟(左) 右に海中道路が見える  定期便から撮る 写真2 南東から見おろした泡瀬干潟  定期便から撮る
写真3 泡瀬干潟(SPOT衛星画像に埋め立て予定地を合成。黒線は等水深線)  写真4 那覇空港着陸直前にみえる埋立地。輪郭がマンタ。沖縄県の埋立地はなぜかマンタ型にこだわりがみえる。左の泡瀬埋立地の輪郭もまたマンタである。
この写真は、別記の(財)日本自然保護協会パンフに掲載されたもの(長谷川作成)
写真5 干潟の砂地からのびるミドリイシ類のサンゴ 写真6 さまざまな海草・海藻類も泡瀬干潟の特徴
写真7 イソギンチャクとクマノミの共生 写真8 干潟をあるく  
人間も干潟と共生できるでしょうか

  (2003年9月、長谷川均撮影)


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