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VOL.10-03  2008年3月

ユーフラテスの漁師

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 シリアの首都ダマスカスから北東へ直線にして約400km、乾いた大地を猛スピードの車にのって半日ほど行くとラッカという地方都市に着く。ラッカはユーフラテス川の左岸にある街だ。このあたりのユーフラテス川の水はとてもきれいで、泳ぐ人、車を洗う人たちが川辺にあつまっている(写真1)。
 ラッカの街角に立って交差点を行き交う車を眺めていたら、ピックアップが舟を運んでいる。船首が細くキュッとすぼんで上を向いた日本では見かけない形の舟である(写真2)。ある日、段丘の上からユーフラテス川を眺めていたら(写真3)、同じような形の舟が川の上流から流れてきた(動画1)。私のいる場所は川面から20mほど高い。川漁師らしい。網を投げ入れるところを見たいと思ったが、そのままゆっくり流れに乗って下っていった。
 別の場所で、休んでいる漁師の人たちに出くわした。彼らは仕事を終えて、鉄道線路の橋脚の日陰でチャイ(甘い紅茶)を飲んで一服していた。チャイをごちそうになった後で、捕った魚を見せてもらった(写真4、5)。コイのような大きな魚が何匹も荷台にのっている。
 ラッカのホテルで食した川魚といえばナマズだ。一匹丸ごとのナマズの唐揚げをつつきながら飲むビールはうまかった。ただしこの時のナマズは養殖物だろうという。自分の身体がくたびれているときの魚はありがたかった。でも、何日かして同じ料理を頼んだが、出てきた唐揚げは何だか生臭くて食べられたものではなかった。いったいどうなっていたんだろう。

<写真1>橋の上から見たラッカ郊外のユーフラテス川 <写真2>ラッカ市内で見た川船。手前の荷台にはウリ。
<写真3>ユーフラテスの河畔
  ポンプでくみ上げた水で耕作している。周辺は綿花畑だが、ここで何を作っていたかは不明。小屋はアシのようなもので掛けてある。対岸は中州。
 <写真4>上流から流れてきた川船と漁師ふたり(上の写真をクリックしてで動画再生)背景で聞こえる音は、川の水をくみ上げているポンプの音と風の音 
写真5
荷台の布でくるんであるのが魚。右の男性は携帯電話で「怪しい日本人がいるぜ」と電話しようとしているところ。
写真6
この人は近くの集落のにいさん。シリア製だというのオートバイを得意げに見せてくれた。



                                             (写真1~6、2007年8月、長谷川均撮影)

 


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