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VOL.12-01  2010年01月

東京急行電鉄の取り組み

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 大手民鉄最混雑区間をもつ東急電鉄は、この数年ほとんど毎年混雑解消の施策を行ってきた。最混雑区間は2000年以降連続して田園都市線池尻大橋・渋谷間で、田園都市線は沿線人口が現在も増加しており、通勤混雑の著しい路線である。2008年には3月の大井町線改良による急行の新設(写真A)や同年6月の目黒線日吉延伸(写真B)、2009年7月には大井町線の溝の口延伸が完了した。これらは田園都市線沿線から都心方向へのルートを増やし、通勤客の利用路線分散により混雑を解消しようとする方策である。

写真A 

写真B 

大井町線の溝の口延伸(写真C・D)によって、二子玉川での乗り換えが減り、二子玉川・溝の口間の田園都市線の混雑は解消している。それには大井町線の各停の大部分が二子新地・高津を通過する事による効果もあるとみられる。写真Eは通過線を走行する大井町線各停から高津駅停車中の田園都市線各停を追い抜くところを撮影したものである。
写真C  写真D  写真E
 以上の施策によって田園都市線の混雑解消し混雑率が低下したかどうかについては今後の検討に委ねる(東急電鉄は軽減されたと発表している)。最混雑区間の数字としての輸送量とは別に、乗車している通勤客の分散により通勤状態の改善に効果があったと考えられるのが、2007年4月開始の準急運転(写真F:急行電車の混雑区間の各停化)である。混雑が著しく平行ダイヤとなっていて所要時間に実際には差がなくても、各停よりも急行に乗ろうとする心理が働く者は少なくない。かつての朝ラッシュ時の最混雑区間の急行の車内はまさに通勤地獄であった。この田園都市線地下区間を全列車各停化したことはもっと評価されて良い。一部鉄道ファンの間では桜新町の通過線を無駄にするサービス低下ととらえる向きもあるが、実態を知らない者の意見であり、乗車環境の改善を評価しなければならない。
 写真F  写真G   写真H 
 さて、これまでの取り組みについて紹介すると、まず1998年に池上線のワンマン化(写真G)を実施し、2000年にこどもの国線の通勤線化(写真H)、同年の目蒲線の目黒線と多摩川線への改編、2001年の世田谷線のノンステップ化や東横特急の新設、2003年の田園都市線の半蔵門線を介して東武線への乗り入れなどが挙げられる。また、横浜都心方面への改良として2004年の東横線横浜・桜木町間廃止(写真I)とみなとみらい線開業(写真J・東横線相互乗り入れ)がある。さらに2009年にたまプラーザ駅ビルの大幅改良が完成した(写真K)である。
写真I  写真J   写真K 
(写真Iは2004年1月、それ以外は2009年12月に、いずれも岡島 建撮影。)

                                              

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