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VOL.21-10  2019年10月

  世界遺産・ヴァウダ水位調節水揚げポンプ場

加藤幸治

※写真や画像の引用に関する問い合わせは、こちらのリンク先ページをご覧下さい。

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 オランダといえば「風車」で,その「集積地」であるキンデルダイク(Kinderdijk)が世界遺産にも指定されていることは今月の地理写真2019年1月においても紹介しました.風車の主たる役割はポルダー地帯からの排水でしたが,現在その役割を担っているのが水位調節ポンプです.その中でも世界最大規模の現役の蒸気式水揚げポンプ場であるヴァウダ水位調節水揚げポンプ場も,1998年に世界遺産に指定されています.
 当ポンプ場のオランダ語名称は「Ir. D.F. Woudagemaal」であり,「Ir.D.F.ヴァウダヘマール」と日本語で書かれている場合も少なくありません.ただし「Ir.」は大学の工学部で教育を受けた人の称号(日本語でいえば工学士ということ)であり,Dr.のような称号なので,技師というできでしょうか.「D.F. Wouda」が人の名前,「gemaal」はポンプ場という意味なので,「D. F.ヴァウダ技師(の)ポンプ場」ということになります.ここでは「ヴァウダ水位調節水揚げポンプ場」としていますが,それは当施設の日本語ガイド(コピー用紙に印刷されたプリント:?1か?2でした)に,そうあるからです.
 それはさておき,写真Aが当ポンプ場の遠景.写真Bが世界遺産登録施設であることを示す看板です.
 とはいえ,これだけではどういうところにあるのか分かりにくいのですが,空撮(写真C)を見ると水路の様子がよく分かります.
   
<写真A>     <写真B>
     

<写真C>

     <写真D>)
   
 
 
   

<写真E>

    <写真F>
 ポンプ場の陸側が写真D,排水側(アイセル湖側)が写真Eです.
 場内はガイドツアーで見学できます(写真F;日本語ガイドもこのツアーのコースに沿った説明になっています)
 
       
 <写真G>     <写真H>
 写真Gは蒸気ボイラー,写真Hは排水にもっとも重要な排水ポンプです.遠心ベーンポンプというそうで,円の部分の中を回る水の勢い(遠心力)で真ん中のパイプ部分から水が吸い上げられる仕組みになっているそうです.
   
<写真I>    

<写真J>

 現役(といっても洪水時のような時に非常用的に使うもので,普段は動いていません.ただ現在も年10回程は使うそう)なので,操作室のようなところもあります(写真I).
 世界遺産なので,見学者用にポンプ場を再現したレゴもあります(写真J).結構,精巧(写真K)
 これらはとにかく,国土の大部分が海面下にあるオランダそのものを支える重要な仕組み.ビジターセンターではそれを象徴するようなポスター(写真L)も販売されていました.
 詳しくは次のURLも参照下さい(https://www.woudagemaal.nl/en).
 
 
       
<写真K>      <写真L> 
       
       
      ・写真A〜L:2018年8月,加藤幸治撮影  
       
     
   

                                              

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