Back Number をみる

VOL.22-02  2020年02月

  「チベット仏教の聖地:ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群

内田 順文

※写真や画像の引用に関する問い合わせは、こちらのリンク先ページをご覧下さい。

「今月の衛星画像」 を見る


  7世紀、ソンツェン・ガンポが統一王朝(吐蕃)を建国して以来、つねにチベットの政治と経済の中心として機能し、標高3650mの高地に位置するチベット仏教の聖地、それがラサです。1642年にチベットを統一したダライ・ラマ5世は、自らを神格化し、その象徴としてのポタラ宮の造営に着手しました。はじめに東側の白宮が完成し、ダライ・ラマ5世が没すると、その霊塔を安置するために紅宮が建設されました。写真は、文化公園より見た、池に映るポタラ宮の正面です(写真1)。
山麓でチケットを買うと、宮殿の横に付けられた階段を上って、まず紅宮側から中へ入ります(写真2)。紅宮の内部には仏殿、経堂、霊塔、曼荼羅などが配され、チベット仏教の思想を目に見える形で体験できるようになっています。宮殿の内部には、国宝レベルの仏像、仏教絵画、宝石類が無数に配置されているのですが、一切撮影禁止になっているため、写真で紹介できません。写真3は、紅宮の第4層・弥勒仏殿より見た、ダライ・ラマ5世霊塔殿とダライ・ラマ7世霊塔殿です。紅宮から白宮の屋上へ出ると、紅宮金頂(歴代ダライ・ラマの霊塔殿)が眺められ(写真4)、ポタラ宮の屋上より市街中心方面を見おろすことができます(写真5)。また写真6は、デヤン・シャルより見た白宮の中心部で、ここにダライ・ラマの寝室や執務室があります。
ポタラ宮は1994年に世界遺産に登録されましたが、2000年に追加登録されたのが、ジョカン寺(大昭寺)です。ここはチベット人にとってポタラ宮と並ぶ聖地であり、今なお門前で五体投地する巡礼者が絶えません(写真7)。ジョカン寺の大中庭にはダライラマの玉座があり、つねに灯明に使われるバターと香の匂いが混じった独特な香りが漂っています(写真8)。写真9は、ジョカン寺の3階より見たトゥルナン部の屋上。寺院の巨大さがわかります。遠くに見えるのはポタラ宮の姿です。
また、2001に追加登録されたノルブリンカは1751年以降歴代のダライ・ラマが離宮を建設した場所です。写真10は、ダライ・ラマ14世が夏の離宮として建てたタクテン・ミギュ・ポタンです。
     
 
 
写真1:文化公園より、池に映るポタラ宮 
写真2:紅宮わきにある入口  
     
 
写真3:紅宮、弥勒仏殿より見た、ダライ・ラマ5世霊塔殿とダライ・ラマ7世霊塔殿
写真4:白宮の屋上より見た紅宮金頂(歴代ダライ・ラマの霊塔殿
 
 
   

     写真5:ポタラ宮の屋上より市街中心方面を見おろした風景

 写真6:デヤン・シャルより見た白宮の中枢部  
 
     
写真7:ジョカン寺、門前で五体投地する人々   写真8:大中庭の灯明群(ダライラマの玉座)  
 
     
写真9:ジョカン寺3階より見たトゥルナン部屋上とポタラ宮
  写真10:ノルブリンカ、タクテン・ポタン(ダライラマ14世の夏の離宮)  
 
(撮影:1994年8月)  
 
 
 
   

                                              

今月の地理写真バックナンバー