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VOL.22-07  2020年07月

  与那国島 「日本唯一」の多い島」

長谷川 均

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 「日本唯一」の多い島 というフレーズは、目崎茂和(1985)『琉球弧をさぐる』の与那国島の説明にあるものです。目崎茂和さんによれば与那国島は、・日本最西端の島 ・外国がよくみえる島 ・黒潮が日本で最初に出合う島 ・活断層密度が日本一らしい島 ・世界最大の蛾のいる島 ・台湾と現在単独で交易する島 ・最も度数の高い泡盛を生産する島 ・二期作の耕地率最大の島 ・人減らし法が多種あった島 ・米軍政下で密貿易した最大の島 ・クサテをもたない亀甲墓の島    などという点が「日本唯一」であるといいます。
 コロナ禍で気の晴れない夏ですが、与那国島の青空写真でも見ながらしばし気分転換をしてみましょう。
 
     
  地図1 OSMによる与那国島  文字は下の写真を撮影したサイト   
     
     
  写真A 北牧場とよばれる地域。空港の北西に広がる平坦な段丘面。 
  写真B Dr.コトー というTVドラマで診療所として使われた建屋 見学可能  
         
     
  写真C 南島の夏といえばこれ アダン   写真D 南東海岸にある立神岩 
 
   
       
 

写真E 断崖絶壁に囲まれた与那国島では簡単にアプローチできる浜は限定されます。この浜は六畳ビーチという小さな浜です。崖を下った先にあり簡単にいくというわけにはいきません。造礁サンゴの作る影が濃いので、一度ゆっくり見てみたい場所です。

  写真F 断層崖の一部です。手前は水田だった低地ですが、現在は牧草地として使われています。   
     
     
  写真G     写真H   
   写真G,Hは、サンニヌ台と呼ばれる景勝地です。砂岩頁岩の互層ですが頁岩が勝っています。この地層は、与那国島の南東部に分布し、30年ほど前に‘発見’された「海底遺跡」に続いています。「遺跡」では、海底に向かって傾いた階段状のダイナミックな地形が浅海に広がっています。沖縄では著名な地質学者が「遺跡」と言い切ったことから大混乱が生じていると言っていいでしょう。人的な要素はまったく関与しない自然の地形であることは、ここを観察すればわかります。
 
 

   
  写真I    写真J   
   写真Iは日本の最西端にある西崎(いりざき、いりさてぃ)です。久部良港から見上げています。灯台の足もとに、日本最西端の碑や展望台があり日本で一番最後に沈む夕陽を見ることができます。冬の、空気が澄んだ日には111km離れた台湾の島影をみることができるそうです。 写真J は西崎からみた久部良港と集落です。米軍軍政下の沖縄では、1946年4月の通貨経済再開から、本土との民間貿易が自由に行われるようになった1950年ごろまで密貿易が行なわれていたそうです。与那国島は、ここをを中継点とする台湾ルートの拠点地であり、密輸船の基地がこの久部良港でした。現在の与那国島の人口は1500人程度にすぎませんが、密貿易が盛んだった数年間の人口は2万〜3万人くらいいたのではないかといわれています(http://shimanosanpo.com/churajima01/yonaguni00/rekishinen_07.htm)。  
     
  ( 写真A〜L:2018年7月,長谷川均撮影)  
 
     

                                              

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