史料学実習では、ほとんどが「くずし字」で書かれた「古文書」(こもんじょ)を活用し、解読・撮影について学んでいます。この授業の魅力はなんといっても実際に本物の古文書に触れることができるということです。
史料学実習T・Uは、保坂智先生、佐々博雄先生のご指導のもと、基礎的なくずし字を学ぶために、比較的読みやすい古文書からスタートします。先生によって多少テキストは異なりますが、佐々先生の講義では江戸時代の「五人組御仕置帳」という、五人組の規則護持を誓った内容のものを用いています。先生のご指導を受けながら、「くずし字解読辞典」を片手に古文書に向き合うわけですが、大学に入学するまでまったく触れたことのない分野のため、大変苦労しました。当初、墨で書かれている「くずし字」がミミズのはった跡のように見え、まったく解読できませんでした。しかし、毎回の講義を経て二年になると、多少発展したものもスラスラ読めるようになっていました。

 普段は、古文書のコピーを用いて解読していますが、夏期休業前の三日間の実習では、大学が所有する古文書を用いて、保存方法を学び、写真撮影を行ないます。写真撮影は、一眼レフカメラを使い、露出計等を用いて原文書を撮影します。原文書は貴重なものですので、損傷の原因になるコピー機での複写は行ないません。普段使用している文書のコピーも撮影した写真を印刷して使っています。古文書を学んでゆく上で、写真撮影は欠かせないものなのです。

  史料学実習V・Wでは、基礎をもとに、阿部昭先生のご指導のもと、比較的な難解な古文書解読に取り組んでいきます。史料学実習T・Uでは、江戸時代の村政の古文書が主体でしたが、史料学実習V・Wでは二泊三日の合宿で、地方の文書館(文書収蔵施設)に行き、さまざまな種類の文書をまとめた目録の中から、各々が興味をもったものを選択し、撮影・解読を行ないます。平成16年度は栃木県今市市にある、「今市市歴史民俗資料館」で「関根家文書」という文書に触れてきました。大変貴重な体験ができました。
 
  実習を履修して、難解な古文書も辞典をたよりに解読できるようになりました。史料学実習は、1年間通年で2単位となっています。つまり、単位が欲しいという学生よりも「日本史専攻に入学したからには、歴史研究の基礎を身に付けたい」、「古文書を読めるようになりたい」という熱意のある学生が履修しているようです。数字では2単位ですが、それ以上のものを学び、身につけることのできる授業だと思います。

3年 岩下 徹

 
 

この史料、読めるかな?

史料を解読中。この字、なんと読むのかな?
   


一生懸命解読しています。


撮影した史料です