第一回蘇州大学「作詩交流セミナー」 2001年9月3日(月)から10日(月)にかけて、協定校・蘇州大学において漢詩(七言絶句)創作のセミナーを開催し、 授業終了後、鷲野が次の七言絶句を呈した。 呈周秦老師 漢詩の創作講座が必修として設けられ、かつ、本場の中国や台湾で研修を行っているのは、我が国士舘大学だけである。 漢詩作品集 我々の作品には格律の合わないところや、詩語のこなれていないものもあるが、以下、発表時のまま掲載する。 自上海到蘇州(九月三日) 鷲野 正明 口占(九月四日) 鷲野 正明 再訪留園(九月四日) 鷲野 正明 早晨小雨(九月五日) 鷲野 正明 夢故郷(臨太湖) 鷲野 正明 臨劍池 新井 俊崇 過日思(中文三年) 大久保裕一朗 暑日 大久保裕一朗 山行 (中文三年) 山崎 勇一 古戰場 山崎 勇一 来友(中文三年・交換留学生) 山本 徹 夜熱 (中文二年) 平井 裕貴 蘇州庭園(修士一年) 斎藤 聡 夏夜窓辺(中文三年) 小林 啓五 大暑日 小林 啓五 偶睡 (中文三年) 都築 康子 別離 (中文三年) 鈴木 博行 姑蘇秋来(東洋史四年) 北澤 實 滄浪亭 (中文四年) 岩下 華世 憶故郷 (中文三年) 山下 浩樹 夏雨 山下 浩樹 寒山寺 (中文四年) 黒田 治子 滄浪亭 黒田 治子 秋思 藤森 馨 秋聲 (中文四年) 宍戸 輝子 訪留園(中文四年) 藤井 みゆき 秋夜對月 藤井 みゆき 鐘楼 (中文四年) 上木 絵理子
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平成14年(2002)9月2日(月)から10日(火)にかけて、本専攻「漢詩文作法」の授業の一環として、蘇州大学において |
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日程 | 実施内容 |
3月21日(日)小雨 | 日本〜上海 NH919便 09:45〜11:45 上海〜蘇州 蘇州大学構内見学 東呉飯店泊 |
22日(月) 曇り |
午前 周秦教授の講義(東呉飯店3階会議室) 午後 市内古跡参観 文廟、滄浪亭、可園 書店巡り 夜 作詩指導 |
23日(火) 曇り |
午前 西郊古跡参観 寒山寺、西園 午後 虎丘、留園 夜 作詩指導 |
24日(水) 薄曇り |
午前 市内古跡参観 北寺塔、拙政園 午後 郊外古跡参観 范成大祠、魚莊、唐寅祠 夜 作詩指導 |
25日(木) 曇り |
午前・午後 郊外古跡参観 紫金庵、霊巌寺 午後 市内古跡参観 盤門 夜 作詩指導 |
26日(金) 晴れ |
午前 作品の手直しと発表準備 午後 作品発表会(東呉飯店3階会議室) 夕方 お別れパーティー (水郷樓) |
27日(土) 曇り |
午前 宝帯橋を見学の後、上海へ 午後 豫園見学 夜 雑技鑑賞(上海馬戯城) 上海聖達大酒店泊 |
28日(日) 曇り 時々小雨 |
午前 龍華寺、文廟、玉仏寺 見学 午後 南京路、淮海路 散策 夜 ワイタン |
29日(月) 曇り |
午前 上海映視楽園 見学 午後 新天地等で自由活動 夕方 東方明珠塔にて夕食 |
30日(火) 晴れ |
午前 帰国準 午後 帰国、解散 NH920便 13:10〜16:40 |
今回、ぼくがこのセミナーに参加するのは二度目になりますが、何回参加しても楽しいものです。
蘇州の人たちは、人当たりが善く、男性は親切で、女性も愛らしい笑みを絶やさずにいます。蘇州には都会にはない素朴さと美しさ、数々の名勝古蹟があり、蘇舜欽、范成大、唐寅等といった文人たちが愛した土地でもあります。
このセミナーは、主に作詩を目的としていますが、詩心を養うために、彼方此方と名勝をみてまわります。たとえば、張継の「楓橋夜泊」で有名な寒山寺、呉王闔閭にまつわる遺跡が多い虎丘、中国四大美女のひとり西施が呉王夫差と一時の愛を語った館娃宮(跡)などです。庭園にも多く足を運びました。滄浪亭、拙政園、留園での景色は、ぼくたちの眼を洗わんばかりに美しく、又、美しくみせる為の工夫も凝っていて、一日中散歩しても客人を退屈させません。古来、著名な詩人たちが、その詩に詠み込んできたのも分かる気がします。それから、このセミナーでは文人の生家やお墓にも訪れます。前回は帰有光の墓と唐寅の住居跡、今回は范成大の生家と唐寅の墓でした。これらのような場所は、一般の旅行プランには、まず組み込まれることがないはずです。こうした貴重な場所を訪れることができるのは、このセミナーだけの特権だと言うことができるでしょう。
このセミナーでは前述したように、いろいろな詩跡をみてまわります。ですから、予めそれらの詩跡について知識を蓄えていくと、感慨もひとしおでしょう。しかし、知識が無かったとしても、蘇州大学の学生が処々で、中国語と日本語で解説してくれます。蘇州大学の学生は社交的で、話しかければ、拙い中国語でも聞き取ろうとしてくれるし、聞き取りができなくとも、ゆっくり丁寧に喋ってくれて、会話をしようとしてくれます。彼らの中には、軽く洒落の通じる人もいたので、楽しかったです。
十日間と短い期間でしたが、名勝の観光だけでなく、既に述べたように、蘇州大学の学生は社交的でよく話してくれるので、自分の中国語の水準を知るいい機会でもあります。又、漢籍が安価で手に入り、漢詩も作れるようになるなど、非常に充実しています。
またこのようなセミナーがあれば、ぜひ参加したいと思います。