参加学生は、

細川貴詳、石井隆也、大河内瑞恵、関口由起（以上、中国語・中国文学専攻４年）
　　　須田彩子、白幡由記、二宮レイラ、古川香織、赤松直樹（以上、同専攻３年）
　　　松原知美、園田誠（以上、同専攻１年）
　　　今井志保（東洋史学専攻２年）
　　　荒井禮（本学卒業生・筑波大学大学院生）

の13名。３年の古川は、山西大学に留学中であるが、はるばる山西から夜行列車で蘇州入りして、セミナーに参加した。なお、この13名のうち６名は昨年の台湾中山大学作詩セミナーにも参加している。

　蘇州大学では、周秦教授、唐鳳珍女史をはじめ、来年３月本学に交換留学生として来日する予定の朱芸（しゅ・うん）、周秦教授の弟子の路海洋、劉志宏の各氏にお世話になった。また、現在蘇州大学に交換留学中の板坂光（中文３年）、同じく北京師範大学に交換留学中の秋元結実（中文４年）が、生活面でいろいろ面倒を見てくれた。

　宿舎は、前回のセミナーでは東呉飯店や蘇州飯店であったが、今回は、東校区にある外国人留学生宿舎であった。十全街から遠く離れているが、宿舎のすぐ近くに学生食堂やスーパーがあり、生活をするにはそれほど不便を感じなかった。

　セミナーの日程・研修場所は以下のようである。

８月21日、空路上海へ。着後、蘇州大学からの迎えのバスで蘇州へ。
　　　22日午前、鷲野が作詩の基礎講義。午後、文廟と滄浪亭で研修。
　　　23日、拙政園、昆曲博物館、北寺塔。昆曲博物館では、案内役の路海洋氏が舞台
　　　　　に上がって昆曲『西廂記』名場面の数曲を披露。
　　　　　日本側からは、荒井、今井、鷲野が、それぞれ詩吟、歌謡曲、民謡を披露。
　　　24日、留園、寒山寺、虎丘。
　　　25日、紫金庵、彫花大楼、盤門。
　　　26日午前、作品発表の準備。午後、作品発表会、講評。夕方、お別れ会。　　
　　　27日、同里を見学したのち上海へ。玉仏寺を見学。夜は雑技を鑑賞。
　　　28日、上海博物館を中心に各自で研修。
　　　　　午後、豫園を見学ののち、夜は東方明珠塔で食事。
　　　　　ホテルに帰った後、タクシーに分乗して皆で夜の外灘へ。
　　　　　最後の夜を楽しく過ごした。
　　　29日、空路日本へ。成田着後、解散。

　蒸し暑いなかを毎日朝早くから市内や郊外の遺跡・詩跡を見学し、詩心を養うことができた。

　　　国士館大学　漢詩作品集　　　　　

教員作品

　 　　口占　　　　　　　　鷲野正明
　　学舎東門高大樓、夜中點燭帯新秋。
　　姑蘇城外初投宿、名苑何時又訪遊。

　　　文廟　　　　　　　　鷲野正明
　　急雨欲來雲滿天、尊師孤立廟堂前。
　　公孫樹葉青青茂、拒絶俗塵將幾年。

　　　滄浪亭　　　　　　　鷲野正明
　　荷葉田田水一方、紅花將發散清香。
　　石橋渡盡入門處、野鳥頻啼幽興長。

　　　飲茗　　　　　　　　鷲野正明
　　十全街上溢紅塵、漉漉汗流猶惱人。
　　偶入冷房茶店裏、始嘗佳品碧螺春。

　　　拙政園　　　　　　　鷲野正明
　　緑水遶亭陽灌園、閑聴鳥語滌塵煩。
　　遥看塔影花香裡、徐到清風白藕翻。

　　　　崑曲博物館　贈路海洋學兄　鷲野正明
　　技藝詩文如海洋、養修航路甚深長。
　　君歌崑曲梁塵動、含咀英華入奥堂。

　　　北寺塔　　　　　　　鷲野正明
　　刻碑移處小堂成、布袋依然期太平。
　　塔裡游人皆娯楽、時聞檐馬緑風鳴。

　　　留園　　　　　　　　鷲野正明
　　冠雲峰下一安榴、千粒漸紅風已秋。
　　遊子攀枝將採實、粗柯忽折悔心悠

　　　虎丘　　　　　　　　鷲野正明
　　鳥語蝉聲忽静閑、沛然雨下虎丘山。
　　千人石上無人影、古塔更高新樹間。

　　　紫金庵　　　　　　　鷲野正明
　　滿山柑葉緑青青、古刹黄牆塵慮醒。
　　羅漢口脣將欲動、釋迦眼力現神霊。

学生作品

　　　重到古都蘇州　　　　荒井　禮
　　勾踐專心破闔閭、爾來名士競求居。
　　　水流甚似威尼斯、文物風流總不如。

　　　八月二十一日宿留學生宿舎　　荒井　禮
　　江樹青青柳色佳、香塵處處十全街。
　　　人車來往晩不盡、更到喧聲客舎階。

　　　滄浪亭得涼　　　　　荒井　禮
　　蒸溽市街聞亂蝉、滄浪解悶訪亭前。
　　　風廻石上颯吹袂、脩竹交陰聲似漣。

　　　拙政園　　　　　　　荒井　禮
　　蓮葉田田映碧池、柳楊湖石競嬌姿。
　　　風光不異徴明筆、随所逍遙何不怡。

　　　北寺塔　　　　　　　荒井　禮
　　呉王城裏最高樓、入塔風聲自解憂。
　　　山色眼前晴正好、?頭遙望思悠悠。

　　　虎丘戲作　　　　　　荒井　禮
　　遠上武丘幽徑斜、清泉湧處有仙家。
　　　停靴坐愛魯公筆、二字華於繁盛花。

拙政園　　　　　　　松原知美
　　寂々院中斜日輝、高樓碧瓦帯清暉。
　　　白蓮浮水似霜月、青柳揺風如羽衣。

　　　旅愁　　　　　　　　今井志保
　　　蓮花盛發柳楊風、鳥語欣然青樹中。
　　　獨倚小亭臨水處、垂條弄髪忽心●（ﾘｯｼﾝﾍﾞﾝ+中）。

　　　留園　　　　　　　二宮レイラ
　　　緑陰碧水溢留園、滿耳譟蝉湖石前。
　　　遊子折枝眉蹙處、人々來集問因縁。

　　　盤門偶成　　　　　須田彩子
　　　炎蒸滿苑汗長流、相喚蝉吟不耐憂。
　　　避暑池亭携友入、荷風忽到爽於秋。

　　　古典夜園　　　　　白幡由記
　　　風揺楊柳水雲郷、晩?微涼荷気香。
　　　美女江亭歌數曲、中宵忘刻旅愁長。

　　　留園偶成　　　　　赤松直樹
　　　炎威焦土午時陽、橋畔逍遥松気涼。
　　　水面一聲池鯉躍、荷風楚々是仙郷。

　　　登盤門　　　　　　　古川香織
　　　盛夏蝉鳴日午天、登高遠望白雲邊。
　　　遥思故國離情切、獨在異郷經半年。

　　　雷　　　　　　　　大河内瑞恵
　　　炎威如燬小池頭、荷葉青々花獨幽。
　　　爽気涼風何處起、雷聲遠響汗珠収。

　　　虎丘　　　　　　　　関口由起
　　　朝來滿目不分明、細雨紛々古梵城。
　　　斜塔映池風籟爽、清香忽到白蓮汀。

　　　詠学院　　　　　　　石井隆也
　　　晴天縹渺火雲張、緩歩遊魂翰墨場。
　　　小院柳條詩趣養、涼風忽起世塵忘。

　　　拙政園　　　　　　　細川貴詳
　　　柳楊拂地到微風、蓮葉滿池游鯉紅。
　　　竹樹隔塵松籟爽、庭園光景古今同。