※ 「今月の衛星画像」 2010年のテーマは 境界 です ※

Vol.12-07    2010年07月号

点線で描かれた国境 カシミール地方

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「今月の衛星画像」で使用したデータの中には、「研究利用目的配布」で購入したデータが含まれています。
ADEOS衛星の場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。MOS,MOS-1bの場合、データ所有および提供は宇宙開発事業団です。
LANDSATの場合、データ所有は米国政府、提供はSpace Imaging(R)/宇宙開発事業団です。
SPOTの場合、COPYRIGHT CNES、提供はSPOT(R)/宇宙開発事業団 です。
また、メリーランド大学のアーカイブデータを使用することもあります。

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 2010年のテーマは、「境界」です。衛星画像を使って、世界の「境界」を見てまわりましょう。


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 地図帳を開くと、国境線が点線で描かれた地域が世界で何カ所かあります。5月号もそのようなところでしたが、今月のカシミール地方もそのような場所です。そのような場所とは、領土問題を抱えた国境地帯ということです。ここカシミール地方の領土問題は、「1947年のインドとパキスタンの分離独立の際、どちらかへの帰属を迫られ住民の多くを占めるムスリムはパキスタンを、ヒンドゥー教徒の領主はインドを選んだため、両国の間に紛争が起こった」(新訂版 新詳地理B 帝国書院H20年)というのが私が読んだ中でもっとも簡潔明瞭に書いてあるものでした。1965年に第二次インド・パキスタン戦争が、71年に三度目の衝突、89年以降はインド支配地でのイスラム過激派による武装闘争が原因の衝突が繰り返されたといいます。そして98年には、両国が共に核保有国となり緊張関係が収まる気配はありません。
 「日本の学校教育用地図帳では、パキスタンから中国へ割譲された地域を除き、中印パ三国の主張するすべての地域を所属未定とし、実効支配線(停戦ライン)のみ描く手法がとられている」というのは、Wikipediaからの引用です。下の地図で太い斜線で塗られた地域がここにあたります。
 少し前のことですが、たまたま乗っていた飛行機が、パキスタンを通ってこの地域の上空を飛びました。眠い目をこすりながら朝日に輝く山々を眺めていました。飛行機は北部地域を通り、カラコルム山脈を抜けてウルムチをめざして飛んでいるようでした。そのときに撮した写真をいちばん最後に載せておきます。


地図 カシミール地方  M.S.エンカルタの地図などから作成
画像1 カシミール北部地域のLANDSAT TM   1989年7月26日 (RGB342)
画像を拡大すると、谷底に耕作地がみえます(ただし、この画像では解像度を落としています)

画像2 上の画像を3Dにしたもの。南から北を見る。
 
写真 ナンガパルバット 8125m(左)とハラモシュ山群の7000m級の山々
ひよっとしたら、山名が間違っているかもしれませんが・・・    2008/8 長谷川均 撮影